2007 Fiscal Year Annual Research Report
天然有機化合物を基軸とした難治疾患治療薬シーズのデザインと活性評価
Project/Area Number |
18032006
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生方 信 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (60168739)
|
Keywords | 治療薬シーズ / 3T3-L1細胞 / 分化誘導調節活性 / アガリスク / IMPデヒドロゲナーゼ / ミコフェノール酸 / HDAC / NF-κB |
Research Abstract |
本研究は糖尿病・がん等の難治性疾患に対する治療薬シーズを天然から探索し、その知見を基に標的因子の同定や新規誘導体のデザイン合成することを目的に行われ、以下の6項目の研究結果を得た。(1)糖尿病治療薬につながる生理活性物質探索のために、マウス脂肪前駆細胞3T3-L1の脂肪細胞への分化誘導調節活性を指標に、アガリクス・ブラゼイムリルより化合物の単離および構造決定を行い、ある化合物が分化促進活性を有することを見出した。(2)以前、われわれは高血糖による障害の原因となるメイラード反応の阻害物質を探索し、テルピネン・4・オールを見出した。本研究では阻害反応機構の解明とより強い活性を目指し・アルケンメタセシスの方法で誘導体の合成に成功した。(3)天然物ミコフェノール酸を原料としたヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤をデザイン合成した。新たに合成されたHDAC阻害剤はクラスIIのHDACに特異性を持ち、またミコフェノール酸の本来の標的分子であるIMPデヒドロゲナーゼに対する阻害親和性は1/10以下に減少した。(4)肥満によるインスリン抵抗性は脂肪細胞から放出されるサイトカインTNFによる転写因子NF-κBの活性化が原因の一つである。そこで、本研究では木質のアルコール蒸解によって得られるリグニンの低分子画分がNF-κB活性化を抑制すること、また、リグニンによるNF-κB活性化にはフェニルクマラン結合が重要な構造であることを明らかにした。(6)抗菌活性を有し、チューリップの葯に特異的に蓄積する6-tuliposide Bの世界初の合成に成功した。
|