2006 Fiscal Year Annual Research Report
隠された対称性を利用した合成ルートの構築:多環式神経細胞作用分子の合成
Project/Area Number |
18032008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 将行 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70322998)
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Keywords | リアノジン / 全合成 / 多環式構造 / 四置換炭素 / 渡環反応 / C_2対称 / カルシウムチャネル / 神経毒 |
Research Abstract |
本研究課題は、高度に酸化された四級炭素を多数含み、複雑な縮環骨格を有する天然有機化合物の効率的不斉全合成法の開発を目的としている。リアノジン(1)は、細胞内カルシウムチャネルの開閉を制御する神経毒である。1の五環性骨格には8個の四置換炭素が存在し、その全合成は挑戦的な課題である。本年度は、隠された対称性を最大限活用した合成ルートによって、官能基化された三環性中心骨格を効率的に構築した。 ビシクロ[3.3.2]デカン骨格の構築:リアノジン全合成に際して、重要中間体として、C1,C5四級炭素を有するC_2対称ビシクロ[3.3.2]デカン骨格を設計した。2,6-ジメチルジヒドロキノンと無水マレイン酸の脱芳香環型Diels-Alder反応は、低収率だった(26%)。そこで、HOMOレベルのより低いペンタフルオロフェニルマレイミドを反応に用いたところ、収率を63%まで向上できた。イミドを酸加水分解しジカルボン酸へと誘導後、電解反応による脱炭酸を経て、ビシクロ[2.2.2]オクタン環を高収率で形成した。6員環の二方向同時環拡大反応は立体選択的に進行し、ジケトンを有するビシクロ[3.3.2]デカン骨格が効率的に合成できた。 リアノジン中心骨格の効率的合成法:二種類の分子内渡環反応によって、8員環から5/5縮環システムを形成し、全合成重要中間体であるリアノジン三環性骨格の構築を実現した。すなわち、ビシクロデカン骨格を官能基化した後に、Sml_2で処理すると、ピナコール反応によりC2対称トリシクロ[3.3.2.0^<2.6>]デカンが形成された。一方、8員環ジケトンのα位をヒドロキシ化し酸処理すると、渡環アルドール反応により、酸化度の高い5/5縮環システムが得られた。
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Research Products
(9 results)