2007 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク質共役受容体に働く新規治療薬シーズの探索と活性評価
Project/Area Number |
18032016
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
武田 茂樹 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80282854)
|
Keywords | 糸状菌 / Gタンパク質共役受容体 / インシュリン分泌 |
Research Abstract |
Gタンパク質共役受容体(GPCR:G-protein coupled receptor)は、細胞膜表面上に存在する膜タンパク質で、細胞内に情報を伝える生体内センサーとして働いている。糸状菌は様々な二次代謝産物を産生する能力を持っており、新規リガンド探索に有用であると考えられる。にもかかわらず、糸状菌由来のGPCRリガンドの検索・開発はあまり行われていない。これはGPCRの活性測定が通常そのGPCRを発現させた生細胞を用いるため、多様な物質を含む糸状菌培養液をもちいても共雑物による非特異的な細胞の反応が多すぎて、正確で信頼性のある活性測定が行えないためである。 本研究で用いた[35S]GTPγS結合活性測定はGPCR-Gα融合タンパク質ヘのアゴニスト依存的な[35S]GTPγS結合活性を測定し定量化することでリガンド活性を調べる方法である。この昆虫細胞で調製した融合タンパク質膜画分を用いた[35S]GTPγS結合活性測定は、糸状菌培養液中の共雑物の影響をあまり受けず、GPCRに作用するリガンドを特異的に検出することができるので、生細胞を用いた通常の活性測定法の欠点を克服した方法といえる。このため、混合物のスクリーニングには最適である。 本研究ではこれまでに7つのGPCRに対して430種類の糸状菌培養液を用いて活性測定を行い、4つのGPCRに対して合計10個のアンタゴニスト、18個のアゴニスト活性を見出した。これらの結果は糸状菌培養液が新規GPCRリガンドの発見のためのよい材料であること、また我々のGPCR-Gα融合タンパク質を用いた[35S]GTPγS結合活性測定のスクリーニング系が高い効率をもつことをよく示している。また、このうちの1つの組み合わせについて動物実験を行い、ある糸状菌がすい臓に発現するGPR119を活性化することにより、インシュリンの分泌を促進して血糖値を下げる働きがあることがわかった。
|