2006 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疾患に関わるシグナル伝達分子を標的とした天然機能分子の探索
Project/Area Number |
18032020
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90212927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 緑 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (40373261)
大槻 崇 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (30401011)
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Keywords | 薬学 / 有機化学 / シグナル伝達 / 癌 / 生理活性 / 天然物 / 探索 / スクリーニング |
Research Abstract |
当研究室独自に構築した未利用天然物ライブラリーを用いて,疾患関連シグナル伝達分子を標的とした天然物探索研究を行った.その中から,本年度の研究成果を以下に記す. 1.タイ産東北部産のショウガ科植物Curcuma parvifloraより単離した一連の新規セスキテルペン二量体成分は,各種培養腫瘍細胞に対する増殖抑制活性を示した.主成分parviflorene Fについてウェスタンブロット法を用いた解析により,本化合物はアポトーシスに関与するデスレセプターの一つであるDR5の発現量を有意に上昇させ,またカスパーゼ-8および-3を活性化させることが明らかとなった.さらにアネキシンV染色により,本化合物によるアポトーシス誘導を確認した.従って,Parviflorene Fはデスレセプター経路を介してアポトーシスを誘導することが示唆された.一方,DR5の発現を誘導する天然物の探索のために,DR5プロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだ安定形質転換細胞株DLD-1/SacIを用いたスクリーニングを行った.その結果,ショウガ科植物Catimbium speciosumより数種のフラボノイド類を活性成分として単離した. 2.大腸癌や肝癌などではWnt/β-cateninシグナル経路の異常亢進が引き起こされている.そこで,この経路を制御する天然物の探索を目的にβ-catenin/TCF転写阻害活性を指標としたスクリーニングを行った.TCF/LEF結合領域をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだ安定形質転換細胞株293T/STFを用いたスクリーニングより,当研究室の天然物化合物ライブラリーのの中から,変形菌Lycogala epidendrumの子実体より単離したlycogarubin Bが40μMでβ-catenin/TCF転写活性を86%阻害することを見いだした.
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