2006 Fiscal Year Annual Research Report
NMRを用いた生体機能分子-標的蛋白質複合体の相互作用解析法の開発
Project/Area Number |
18032021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂倉 正義 東京大学, 大学院薬学研究科, 助手 (20334336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院薬学研究科, 教授 (70196476)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 蛋白質 / 相互作用解析 / ユビキチン / 常磁性 |
Research Abstract |
常磁性分子が蛋白質表面の^<13>C核に対して誘起する常磁性シフトを利用して、蛋白質上の低分子リガンド結合部位を決定する手法の開発を試みた。 ・^<13>C核に対する常磁性シフトを測定するためのNMR測定法の確立:^<13>C化学シフトを直接的に観測する、^<13>C直接観測型実験を行う過程において、Jccの存在により誘起されるシグナルの分裂、長い^<13>Cの縦緩和時間に由来する緩和のための待ち時間の増大を克服するための検討を行った。 ・解析対象蛋白質の側鎖^<13>C由来NMRシグナルの帰属:解析対象蛋白質である抗体のFvフラグメント、マクロファージレクチンの^<13>C由来シグナルの帰属を行った。 ・各アミノ酸に対する常磁性物質の親和性の評価:20種類のアミノ酸のすべての^<13>C原子について、網羅的にTEMPOLにより誘起される常磁性シフトを測定し、データベースを構築した。 ・^<13>C核に対する常磁性シフトを利用した、蛋白質-低分子リガンド複合体界面決定手法の確立:マクロファージレクチン、マクロファージレクチンA鎖リガンド(Lewis^X)複合体のそれぞれについて常磁性シフトを測定し、複合体形成に伴う常磁性シフトの変化から結合界面を決定した。常磁性物質は緩和促進効果も誘起するため、充分な感度および分解能の常磁性シフトを観測するために、蛋白質溶液に添加する常磁性物質の濃度の最適化をおこなった。本解析の結果、主鎖アミド基を観測対象とする従来法(交差飽和法)では結合界面残基として同定することができなかったマクロファージレクチンのThr111のC^γが、Lewis^Xとの結合に関与していることが明らかとなった。また、本解析においては、安定同位体標識を一切行っていないサンプルを解析対象として用い、安定同位体標識を行うことが困難な相互作用系に対しても、本手法を適用することが可能であることを示した。
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