2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18032031
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
萩原 久大 Niigata University, 自然科学系, 教授 (20006331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敏夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80202133)
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Keywords | サルビノリン / Salvinorin / 幻覚作用 / κ-オピオイド拮抗作用 / κ-opioid antagonist / ラブダン型ジテルペノイド |
Research Abstract |
サルビノリン類はメキシコ産サルビア属の植物より単離されたフロラクトン型クレロダンジテルペノイドである。その中でサルビノリンAは、既知有機化合物の中でも最強の幻覚作用を示す。LSDやメスカリンなどと異なり、この化合物はκ-オピオイド受容体とのみ選択的に結合する。そのため、中枢神経系の疾患に対するリード化合物として多くの注目を集めている。習慣性を持たないため、モルヒネの代替薬としての期待も大きい。そのような興味ある生理活性のため化学合成に興味が持たれて来たが、7つの不斉中心の制御法、5つの酸素官能基とくにフロラクトン構造の導入法、8位の容易な異性化などの問題のため合成研究例は極めて限られている。本研究では、このサルビノリンAの化学合成を目的とした。 まず、イオン液体を反応媒体としアミノ酸を触媒とするリサイクル型のWieland-Miescherケトン不斉合成法を開発した。この化合物の1位を空気酸化によりヒドロキシ化し保護した。つづいて、液体アンモニア中でめ還元的アルキル化により9位側鎖部を導入し、Wittig反応により4,8位をexo-メチレン化した。ヒドロホー素化、アルデヒドヘの酸化、安定系への異性化により4,8-ビスフォルミル体を得た。フォルミル基を保護した後、3-フリルリチウム付加により側鎖部にフラン環を導入した。フォルミル基の脱保護後、アセタール化、酸化を経てフロラクフロラクトン部を構築した。最後に、Rubbotom酸化により2位に水酸基を導入し、Mitsunobu反応によりアセチル化し標的化合物であるサルビノリンAの全合成に成功した。 さらにランタノイド系ルイス酸触媒を用いる中員環エーテル骨格合成を鍵反応し、海産天然有機化合物、(+)-obtusenyne、(+)-12,13-epi-obtusenyne、(+)-Z-laulean血、の全合成に成功した。またジアステレオ選択的自己触媒型ドミノマイケル反応を鍵反応とし、中国産オミナエシ科植物由来の3環性セスキテルペノイドvaleriananoid類の全合成にも成功した。
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Research Products
(13 results)