2006 Fiscal Year Annual Research Report
アリルカルベン等価体を合成素子とするビニルシクロプロパン骨格の構築
Project/Area Number |
18032040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 工学研究科, 教授 (20174279)
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Keywords | カルベン等価体 / ビニルシクロプロパン / 環化反応 / β-酸素脱離 / 触媒反応 / ロジウム / フェニルボロン酸 / 1,6-エンイン |
Research Abstract |
ビニルシクロプロパン(VCP)は生体機能分子にしばしば見られる骨格であり、生理作用の発現に大きく関与していることが知られている。またVCPは三員環構造に大きな歪みがあるため独特の反応性を示し、有用な合成中間体として合成化学的にも興味深い単位構造である。そのためVCPを短工程で効率的に供給する新しい合成手法の開発が必要である。これまでロジウム錯体のβ-酸素脱離を鍵過程とする触媒反応の開発を行ってきたが、今回これを更に発展させて、アリルエーテル部位との3-exo-trig型環化反応とβ-酸素脱離を経るVCPの合成を試みた。その結果、プロパルギルエーテル部位を有する1,6-エンインに対し、ロジウム触媒の存在下でアリールホウ酸を作用させると、VCP骨格を有する二環式化合物が得られることを見出した。これは、ロジウムがフェニルボロン酸と金属交換した後にアルキンに付加してビニルロジウム種を与え、続いてアルケンとの5-exo-trig型環化反応、アリルエーテル部位との3-exo-trig型環化反応、更にβ-酸素脱離が連続的に起こった結果と考えられる。さらに、アリル位にメトキシ基を有するビニルボロン酸エステルを用いることで分子間反応に展開することができた。例えば、ノルボルネン誘導体にボロン酸エステルを作用させると、ビニルシクロプロパン誘導体が得られた。これらの反応は、アリル位にアルコキシル基を持つビニルロジウム中間体がビニルカルベン等価体(ビニルカルベノイド)として働き得ることを示す。
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Research Products
(5 results)