2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの共通分子機構を標的とする抗ウイルスペプチドの開発戦略の創製
Project/Area Number |
18032051
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大高 章 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20201973)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 有機化学 / 生体分子 / 蛋白質 |
Research Abstract |
地球温暖化、グローバル化に伴う、新興・再興ウイルス感染症の頻発が大きな社会問題となっている。この中には、最近注目を集めているトリインフルエンザウイルスやSARS-CoVなどがある。ウイルスは生物と無生物の境界領域に存在するものであり、比較的単純かつウイルス間で相同性の高い分子システムを利用した、増殖、感染などのライフサイクルを形成している。このような普遍性の高い分子システムを標的とする抗ウイルス剤の開発戦略の創製は、新種ウイルスに対する防御体制を確立する上で、緊急性の高い課題である。抗HIV-1剤開発研究の一環として,ウイルスが標的細胞に感染する際の膜融合を阻害するペプチド性化合物の創製研究を手がけてきた。HIV-1は、I型膜融合タンパク質を有するウイルスであり、このタンパク質のHR2領域由来配列に抗ウイルス作用があることに着目し、α-helix性HR2領域由来ペプチドの機能面区別化という概念を用い、極めて強力な抗HIV-1ペプチドの開発を行ってきた。今回、この概念を抗SARS-CoVの開発に応用した。さらに本概念を利用することにより抗FIV(ネコエイズウイルス)ペプチドの開発や既存抗HIVペプチドの高活性化に成功した。 SARS-CoVの感染には、エンドサイトーシスを経由する感染系と細胞膜から直接感染する系の2つの系が存在することが明らかとなり、特に後者の直接系について、合成ペプチドは強力に感染を阻害することを明らかにした。 直接感染系のモデルシステムとして、発現タンパク質を利用した、ウイルスを利用しないアッセイ系の構築に成功した。 さらに、ウイルスが宿主細胞に感染する際に利用する膜タンパク質の化学的操作法に関して幾つかの新たな知見を得た。
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Research Products
(10 results)