2007 Fiscal Year Annual Research Report
複素芳香族化合物の触媒的不斉水素化:多不斉中心の同時立体化学制御
Project/Area Number |
18032056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 良一 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (20273477)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / 水素化 / 複素芳香族化合物 / ピロール / ピロリジン / ルテニウム / 有機金属触媒 / 光学活性化合物 |
Research Abstract |
ピロールー2-カルボン酸エステルの水素化が、ルテニウム錯体Ru(methallyl)_2(cod)と不斉配位子PhTRAPから反応系中で調製される不斉触媒存在下で円滑に進行し、最高79%eeの立体選択性で進行することを平成.18年度に見出した。この結果を受け、平成19年度は複数の置換基を持つピロールの触媒的不斉水素化を試みた。 まず、3つの置換基を任意の位置に持つ多種多様なN-Bocピロールを合成し、Ru(methallyl)_2(cod)-PhTRAP触媒を用いて、これらの触媒的不斉水素化を試みた。その結果、5位に比較的かさ高い置換基をもつ2,3,5-三置換ピロールを基質として触媒的不斉水素化を行った場合に、90%eeを超える良好な立体選択性で光学活性ピロリジンあるいはジヒドロピロールを与えることがわかった。特筆すべきは2,3,5-トリアリールピロールを基質として用いた場合であり、すべての場合において98%ee以上、最高で99.7%eeで水素化生成物を与えた。 次に、2つの置換基を持つピロールの触媒的不斉水素化についても検討した。その結果、2,5-位に2つの置換基を持つ基質の水素化ではアキラルなメソ体の化合物しか得られなかったが、2,4-ジフェニルピロールを基質として用いた揚合、90%eeを超える立体選択性の発現に成功した。しかし、この立体選択性は置換基の種類に大きく依存するため、基質適用範囲の拡大が今後の課題である。
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