2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド形成により細胞情報伝達システムをマルチ制御する機能性分子の開発
Project/Area Number |
18032057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永次 史 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90208025)
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Keywords | 癌 / DNA / クロスリンク / ハイブリダイゼーション / 遺伝子 / 薬物放出システム / FRET |
Research Abstract |
すでに私は標的との2本鎖内で特異的に活性化されシチジンに対して選択的にクロスリンク反応する2-amino-6-vinyl purineを開発している。さらにこの反応中で反応性官能基のマスキング剤に使ったスルフィド基で結合した分子が放出されることを確認している。本研究ではこの一連の反応を利用して、癌細胞で過剰発現している遺伝子に対してハイブリッドを形成しその発現を阻害すると同時に、薬剤を放出することで標的タンパクの機能を制御する、マルチ制御機能によりシグナル伝達をコントロールできる機能性分子の開発を目的とした。昨年度、標的遺伝子に対してハイブリッドを形成し、薬物が放出されるのを細胞外から検出する方法として、FRET現象を利用し、薬物の放出を蛍光の増強で確認する方法を検討した。その結果、消光団としてダブシル基、蛍光団としてフルオレセインを持つダブル標識機能性オリゴDNAが、試験管内で標的位置にシトシンを含む相補的配列のオリゴDNAと混合したときのみ、選択的に消光剤の脱離に伴う蛍光が増強することを明らかにした。本年度はさらに細胞内に適用すべく、まずモデル細胞系である細胞抽出液を用いて、これらのシステムが機能するかどうかについて検討した。その結果、細胞抽出液中でも、ダブル標識機能性オリゴDNAでは標的選択的な蛍光の増大が観測された。またダブル標識機能性オリゴDNAは細胞抽出液を用いた蛋白発現阻害実験において、高いアンチセンス効果を示すこともわかった。これらの結果は、今回合成したダブル標識オリゴDNを用いて、細胞内においてハイブリッド形成により選択的に進行する化学反応を、蛍光の増強により観測できると期待されるとともに、これらの化学反応が薬物放出システムとしても細胞内で機能する可能性を示したものであると考えている。
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Research Products
(5 results)