2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖を有する生体機能分子のための新合成方法論と実践的合成法の開発
Project/Area Number |
18032068
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60217502)
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Keywords | 糖 / グリコシル化反応 / 配糖体 / 抗生物質 / バイオミメティック / 糖加水分解酵素 / リゾチーム / デオキシ糖 |
Research Abstract |
糖を有する生体機能分子の合成においては、高効率なグリコシル化反応が、その鍵反応として重要である。本研究では、生理活性上重要なある種の抗生物質に多く見られる2,3-ジデオキシ糖及び2,3-不飽和糖のための生体反応模倣型(バイオミメティック)反応による新規グリコシル化反応の開発について検討した。細胞壁分解酵素リゾチームは,N-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸が交互に配列するムコ多糖の6糖鎖を認識し,非還元末端から4糖目(D環)でのみ位置選択的に加水分解する酵素として知られている。この位置選択性の発現は、i)活性部位でD環の糖骨格のみが半椅子型配座を取ることで加水分解の活性化エネルギーが低下する歪みの効果と、ii)生じたオキソニウムカチオン中間体とアスパラギン酸残基の静電的相互作用による中間体安定化効果により説明されている。本研究ではこれらのことに着目し、糖の2,3位に2重結合を導入することにより、i)基底状態で半椅子型配座を有し、ii)生じる中間体のカチオン中心を、導入した2重結合のアリル位とすることにより中間体安定化効果を付与した糖をグリコシルドナーとするグリコシル化反応について検討した。その結果、2,3-不飽和型グリコシルドナーは、従来の2,3-飽和型グリコシルドナーと比較し、より効果的に活性化されることを明らかにした。さらに、2,3-不飽和型グリコシルドナーと2,3-飽和型グリコシルドナーの化学選択的グリコシル化反応が可能であること、また、従来法では困難な3級アルコールとのグリコシル化反応が、温和な条件下効果的に進行することを見出した。
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