2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来低分子化合物からの新規キラル合成素子の創製と生体機能分子全合成への展開
Project/Area Number |
18032070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千田 憲孝 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50197612)
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Keywords | キラル合成素子 / 糖質 / 酒石酸 / モルヒネ / ガランタミン / カスケード型反応 / マイセステリシンA / プロッソネチン類 |
Research Abstract |
生体機能分子を光学活性体として効率的に合成するためには、入手容易なキラル合成素子を用い、これに選択的な官能基導入反応などを施す手法が有効的である。本研究課題では、植物より容易かつ大量に得られる低分子化合物を出発原料とし、多種多官能性キラル合成素子を数多く創製、それらを活用して生体機能分子を全合成する方法論の開拓・展開を目的とした。 今年度は、糖類であるD-グルコースを出発原料として、多官能性シクロヘキサノン型キラル合成素子を調製し、この1,4-還元により得られるエノールトリフレートとカテコールボラン酸との鈴木カップリングにより合成されたシクロヘキセンジオールにおけるカスケード型の連続Claisen転位反応により、水酸基の立体化学を炭素一炭素結合に転写した二重転位体を得た。この化合物の分子内Friedel-Crafts反応、還元的アミノ化、分子内ラジカル環化反応などにより、モルヒネの合成中間体であるジヒドロイソコデインの全合成に成功した。また、D-グルコース由来の多官能性シクロヘキサノン型キラル合成素子を利用し、Claisen転位反応と、分子内プロモエーテル化反応を鍵反応として、アルツハイマー病の治療薬として知られているアルカロイド、ガランタミンの全合成にも成功した。 植物果実から大量に得られる酒石酸を出発原料とし、Overman転位反応を利用することにより、α-置換α-アミノ酸前駆体を合成し、これとやはり酒石酸から誘導したキラルなアリルアルコール部位を有する有機亜鉛試薬とをカップリングすることにより、強い免疫抑制活性を有するマイセステリシンAの初の全合成を達成することができた。 myo-イノシトールを出発原料としたプロッソネチン類の合成研究では、すでに合成に成功した多置換ピロリジン部位と側鎖部とのクロスメタセシスに成功し、全炭素骨格を有する化合物を合成することができた。
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Research Products
(4 results)