2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速縮合反応を基盤技術とする薬理活性天然中員環化合物の不斉全合成
Project/Area Number |
18032074
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
椎名 勇 東京理科大学, 理学部, 助教授 (40246690)
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Keywords | バーゲリニンF / バーゲリニンF / イリドイド / 消炎漢方薬 / 立体選択的合成法 / 第四級不斉炭素 / 不斉アルドール反応 / ワッカー型酸化 |
Research Abstract |
バーゲリニンF(BG-F)およびG(BG-G)は2000年に胡麻の葉草科の植物の根(玄参)から単離されたイリドイド関連化合物であり、第四級不斉炭素を含む特異な三環性骨格から形成される。玄参は古来より消炎漢方薬として用いられるため、この生薬の活性本体の決定とその作用機序の解明は急務な課題であるが、バーゲリニンFおよびGの有効な大量供給法が確立されていないために今だ詳細は明らかにされていない。本研究では不斉アルドール反応を活用した第四級炭素の構築法を鍵工程としてその立体選択的合成法を確立したので以下に述べる。 まず、アキラルなケテンシリルアセタールとクロトンアルデヒドとの不斉アルドール反応をキラルスズ触媒の存在下で行ったところ対応するシン付加体が高立体選択的に得られた。ここでは、ジアステレオマーの生成は認められなかった。生じたsyn付加体の還元と保護基の変換を経て調製されたジオールの分子内ワッカー型酸化を試みると、予期したように二環性のケタールが良好な収率で得られた。引き続く1炭素の導入ならびにエーテル環部の構築により、(+)-バーゲリニンFの合成に成功した。 さらに、同一の中間体であるsyn付加体を鍵化合物として左部のγ-ラクトン環を先に構築した後に、次いで分子内ワッカー型閉環を行うことによって、BG-Fの酸化体である(+)-バーゲリニンGの不斉全合成も完了した。今後、大量合成と活性試験を行う予定である。
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