2006 Fiscal Year Annual Research Report
表面配位不飽和空間を利用した配位高分子ナノ結晶の物性及び形態制御
Project/Area Number |
18033003
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 山形大学, 理学部, 助教授 (50292826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 真実 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (60362026)
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Keywords | 配位高分子 / ナノ結晶 / 配位不飽和 / プルシアンブルー / 表面修飾 / 粒径制御 / モルフォロジー / 分散液 |
Research Abstract |
配位高分子結晶の一つであるプルシアンブルー(PB)及びその誘導体(PBA)ナノ結晶に注目して研究を展開した。PBは、エレクトロクロミック素子、二次電池、グルコースセンサなど、その実用化研究が進められている。PB pigmentは、簡便・安価・大量合成できる一方で溶媒に不溶であるため、その機能化の研究が断念されてき。本研究において、我々は、PB pigmentが10〜20nm程度のナノ微粒子の凝集体であることを発見した。配位高分子結晶の表面には、活性な配位不飽和サイトが存在している。一つは他の配位子や金属錯体(または錯イオン)が配位(交換)可能なFe-OH_2サイト、もう一つは他遷移金属イオンが配位可能なFe-CNサイトである。ナノサイズの結晶では、その結晶表面の配位不飽和サイトの結晶全体に占める割合が極めて大きいため、その配位飽和サイト、つまり、配位高分子ナノ結晶の結晶表面に広がる配位空間を新しい反応場として利用することで、ナノ結晶の物性制御など新しい機能化が可能であると考えられる。Fe-OH_2サイトを利用しアルキルアミンを用いて結晶表面修飾を行うと、PB pigmentのナノ微粒子個々は、その凝集状態が解かれ、トルエンなどの有機溶媒に安定に分散することが明らかになった。このナノ微粒子分散液を使ってスピンコート法により、ITO電極上にPB薄膜の作製に成功し、ITO上のPB薄膜は極めて良好なエレクトロミック挙動を示すことを明らかにした。PBのみならず、NiやCoから構成されるPBAからも同様な表面修飾により、安定なナノ微粒子の有機溶媒分散液を作製することにも成功した。PB、Ni-PBA、Co-PBAはそれぞれ、青、黄色、赤色のナノ微粒子分散溶液を与えることから、フルカラー表示が可能なエレクトロクロミック素子の開発が期待できる。
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