2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18033004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 一弥 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30195979)
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Keywords | 異方性固体 / 反応速度論 / 粒径分布 / 熱重量分析 |
Research Abstract |
本領域で開発される新規化合物の多くが強い構造異方性を持つことに注目し,反応過程の多様性の発現様式の一つである粒径分布を求めることを検討した.本年は界面律速反応について実際に解析を行う共に,拡散律速反応について理論的な検討を行った. 反応が1次元的に進行する場合,適当に定義した「速度定数」はそのとき反応に参加している反応界面の面積に比例する.逆に反応が終了してしまった粒の断面はもはやそれ以上,反応に参加することは無いので,そのような「速度定数」を見出すことができれば見かけの「反応速度」から粒径分布を知ることができる. 常に新たな反応界面が生成される界面律速(表面律速)反応では,界面の反応方向への進行速度は一定であるから,界面の進行速度そのものが先の「速度定数」の要件を満たしている.すなわち,時々刻々の見かけの反応進行度の時間微分(「見かけの反応速度」)はその瞬間において反応に参加している界面の面積に比例している.したがって,「見かけの反応速度」の微分はロッド長分布関数に比例する.実際の解析を行い結果を公表した. フレーム構造が強固で,分子の吸・脱着に対し安定な場合には,拡散過程を考えるのが妥当である(拡散律速反応).半無限の1次元ロッドに拡散する場合には拡散方程式を解くことにより,全拡散量は時間(t)の平方根に比例することが容易に示される.したがって拡散量の√<t>に対する微分が先の「速度定数」の候補である.ロッドの長さが有限の場合には解析的表現は得られないので,数値計算を行った.初期「速度」(√<t>に対する微分で定義)は半無限ロッドの場合の2倍に一致し,t<0.05ではほぼ一定値にとどまり,それ以降,急激に小さくなる.ある時刻以降,そのロッドの寄与が無くなるのが理想的ではあるが,減少がかなり急激であるので拡散量の√<t>に対する微分を用いてロッド長分布が求められる可能性があることがわかった.
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