2006 Fiscal Year Annual Research Report
四重鎖DNAを利用したヘム錯体の空間配列制御とヘム核酸創製
Project/Area Number |
18033006
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 泰彦 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (00191453)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田 肇 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (00282301)
長友 重紀 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (80373190)
|
Keywords | 四重鎖DNA / ヘム錯体 / 配位結合 / G-カルテット / 分子認識 / NMR / 機能性核酸 / π-πスタッキング |
Research Abstract |
四重鎖DNAにおける自己組織化を利用してヘムの空間配置を制御することにより、"ヘム核酸"を調製した。そして、ヘム核酸の構造と機能の相関関係を解析することにより、ヘム核酸を新規機能性材料として展開するために必要な基礎的知見を得た。四重鎖DNAを構成するG-カルテットは、ヘムとほぼ同じ大きさのπ平面をもつことから、疎水性相互作用とヘム鉄への核酸塩基の配位により、ヒト染色体末端におけるテロメア部位の基本配列であるd(TTAGGG)により形成される平行型四重鎖DNA[d(TTAGGG)]_4はヘムと1:1複合体を形成することを明らかにした。また、[d(TTAGGG)]_4は3'-末端のG-カルテットの分子間スタッキングにより二量化することも明らかにした。これらの知見に基づいて、四重鎖DNAを利用してヘム錯体の空間配列制御とヘム核酸の創製のための研究を行い、主に1.-4.を明らかにした。 1.[d(TTAGGG)]_4とカチオン性ポルフィリンTMPyPが形成する複合体の構造解析により、[d(TTAGGG)]_4の3番目のアデニンと4番目のグアニンの間にポルフィリンがインターカレートすることが示され、ヘム核酸も同様な構造であることが示された。 2.ヘム核酸が酸化型ミオグロビン(Mb)に類似した分光学的性質を示すことを明らかにした。この結果を考え合わせると、3番目のアデニンの一つがヘム鉄に配位していることが示された。 3.G-カルテット部位の3'および5'末端にアデニンを配置した四重鎖DNA[d(TTAGGGA)]_4,[d(TTAGGGAT)]_4と、ヘムとの相互作用を調べたところ、四重鎖DNA1分子に対してヘムが2分子結合することが明らかとなった。これらのヘム核酸では、ヘムが約1nm離れて平行に配置されていることになる。 4.[d(TTAGGG)]_4のヘム核酸に、イミダゾールとその誘導体が酸化型Mbとほぼ同じ親和性で結合することを明らかにした。
|
Research Products
(8 results)