2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18033010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 正規 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (30247217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 誠 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90209065)
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Keywords | 自己集合性錯体 / その場観察 / フォロクロミズム / X線結晶構造解析 / 結晶相光反応 / ジアゾメタン / 超分子 / ホスト-ゲスト |
Research Abstract |
これまで様々な有機-無機ハイブリッド包接化合物が合成され、多様な基質を用いて選択的ゲストの包接や反応などが研究されてきた。最近ゼオライトのような細孔性材料には見られないような特性が見出されてきている。さらに精密な分子設計を行うためには、柔軟な配位空間の特異性の起源を原子レベルで検討する必要がある。本研究では、サリチリデンアニリン類などの代表的なフォトクロミック・サーモクロミック化合物に対して配位空間内での基本的な光応答特性の変化を調べた。特に、今までサーモクロミズムしか示さない化合物に対して、配位空間を利用してフォトクロミズム特性の発現を検討した。ネットワーク錯体にサーモクロミック分子を包接させたところ、分子構造が平面型からねじれ型の構造に変化し、サーモクロミック特性が消失し、150Kでフォトクロミズムを示すようになった。また、同じ分子にもかかわらず、共存する溶媒をシクロヘキサンからt-ブチルアルコールに変えるだけで、光転換率が5%から20%に向上することを見出した。これらの知見は、今までサーモクロミズム特性しか示さなかった化合物でも、直接分子修飾することなく、ネットワーク錯体に包接するだけで光応答特性が制御できる可能性を示している。また、ネットワーク錯体を用いたジアゾメタン類の光反応制御の可能性を検討した。現在のところ、通常カルベンが生成する反応条件でもネットワーク錯体内ではカルベンは生成しないことを明らかにした。現在、反応生成物の詳細を検討中である。
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