2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18033010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 正規 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30247217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209065)
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Keywords | 自己組織化 / 結晶相光反応 / ネットワーク錯体 / その場観察 / ホスト-ゲスト / フォトクロミック / 配位不飽和中間体 / 単結晶X線構造解析 |
Research Abstract |
通常のX線回折その場観察法には、結晶のパッキングの制御が困難であることや結晶を形成しない分子には適用できないといった原理的限界がある。そこで、これらの問題点を解決するために結晶性自己集合性中空錯体を用いる包接アプローチを提案した。 配位不飽和中間体の直接観察:M6L4型かご状錯体1を用いて光感応性マンガンカルボニル錯体の集積化に成功し、X線構造解析により構造を同定した。かご状錯体の配位空間により、ゲスト分子そのものでは取りえない、分子配列の制御を実現した。光照射によりカルボニルが脱離し、配位不飽和種の構造がピラミッド型であることをX線構造解析によりはじめて実験的に証明することができた。また、錯体1をネットワーク化することにより1分子のみゲストを取り込み、分子配列制御に成功し、特異な光反応の起源を明らかにした。それにより配位不飽和中間体の構造は、ピラミッド型であることを実験的に明確に証明することができた。 サリチリデンアニリンの光応答特性の制御:平面性三座配位子(L)とZnI_2から構成される三次元ネットワーク錯体[(ZnI_2)_3L_2・m(C_6H_5NO_2)]_n(2)に通常フォトクロミズムを示さないm-Clサリチリデンアニリン誘導体を包接させた結晶に関して光応答挙動を詳細に検討した。分子を直接修飾することなく、包接するだけでフォトクロミズムが観測された。X線構造解析の結果、ゲスト単体の二面角5°に対して、細孔内に独立に存在する2分子の二面角は各々18.0(2)°、40.5(2)°と大きくねじれていることが明らかとなった。本研究により同一分子を用いて構造のねじれがフォトクロミック特性の発現に重要であることを実験的に証明することに成功した。
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