2006 Fiscal Year Annual Research Report
固定化金属錯体の不斉自己組織化を利用した多機能不斉触媒空間の構築と触媒反応制御
Project/Area Number |
18033011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唯 美津木 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (70396810)
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Keywords | 固定化金属錯体 / 不斉自己組織化 / 不均一系不斉触媒 / Diels-Alder反応 / 選択酸化 / 不斉合成 / 選択性制御 / 反応空間 |
Research Abstract |
金属錯体の酸化物表面への固定化を基にした触媒表面設計により、配位不飽和金属活性中心とその近傍の選択的反応空間の同時構築をいった。更に、表面で誘起される不斉自己組織化、不斉を持たない有機官能基による表面修飾法を組み合わせ、これまで確立された触媒設計法が全くなかった表面での不斉合成触媒の設計を検討した。 シッフ塩基を配位子とした不斉バナジウム錯体は、シリカ表面の水酸基と選択的に反応することにより、配位子上の水酸基のプロトンの転位が起こり、生成したフェノール部位の水素結合による2核化が表面特異的に進行することがわかった。また、この表面不斉自己組織化バナジウム錯体の表面不斉会合状態を質量分析、CDスペクトル,EXAFSなどの手法により分析し、表面での会合状態がカップリング反応の触媒活性発現に重要であることを見出した。 また、銅の2価錯体に末端部分をシリカ表面の水酸基と反応させて固定化させて不斉ビスオキサゾリン配位子を配位させ、シリカ固定化銅-ビスオキサゾリン錯体を調製した。このCu錯体の固定化表面を、不斉を持たない有機官能基側鎖を持つシランカップリング剤で修飾すると、固定化銅-ビスオキサゾリン触媒上で起こるDiels-Alder不斉触媒反応の不斉収率が大幅に向上することを見出した。不斉収率は表面に修飾した有機官能基の種類に大きく依存し、表面に修飾した有機官能基が固定化ビスオキサゾリン配位子の不斉構造を制御していることが示唆された。
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