2006 Fiscal Year Annual Research Report
配位空間で働く配位子間相互作用を用いた金属錯体の光機能性制御
Project/Area Number |
18033014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石谷 治 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50272282)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 新エネルギー / 光物性 |
Research Abstract |
【CH-π-π相互作用を活用した単核レニウム(I)錯体の物性および光触媒能の制御】 リン配位子をビピリジンのシス位に2つ導入することで、配位空間において働く"弱い"相互作用を発現させることに成功し2。特にトリアリールホスフィンを2つ導入した錯体において、錯体の基底状態における物性だけではなく、励起状態における物性・反応性にも大きな影響が観測された。すなわち、配位子間にCH(aryl)-π(pyridyl)-π=(aryl)相互作用を導入すると、錯体の吸収は長波長化するが、発光波長は逆に短波長シフトし、励起寿命は長くなる。その結果、励起状態の酸化還元特性も向上した。配位空間に弱い相互作用を導入することで、同じ割合で消光される錯体でも、約35nm吸収を長波長化させることができる。錯体の光触媒能も、配位空間で働くCH-π-π相互作用を導入することで、大幅に向上することが分かった。トリアリールホスフィンを2つ導入した錯体は、CO2を効率よく還元する光触媒としても働くことが分かった。ところが、CH-π-π花相互作用を持たない錯体は、光触媒特性をほとんど示さないことが分かった。 【リング状レニウム(I)多核錯体の発光挙動】 我々が発見した新規光配位子交換反応を活用することで、Re(I)錯体が2-10個環状に連結したオリゴマーの系統的合成法を確立した。これらリング状レニウム(I)多核錯体は室温溶液中で発光するが、その強度は、核数と架橋配位子の長さや剛直性に依存して変化した。立体障害のために架橋配位子周りの回転が阻害され、配位子間で働く弱い相互作用が、オリゴマー全体に拡がった構造を取るときに、対応する単核錯体に比べ、数倍の発光効率を示すことが分かった。
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[Journal Article] Photochemical Ligand Substitution Reactions of fac-[Re (bpy) (CO) 3Cl] and Derivatives
Author(s)
Sato, S., Sekine, A., Ohashi, Y., Ishitani, O., Blanco-Rodriguez, A.M., Vleek, A., Jr., Unno, T., Koike, K.
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Journal Title
Inorganic Chemistry (in press)