2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規固体核磁気共鳴シミュレーション解析法による配位空間の研究
Project/Area Number |
18033016
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
水野 元博 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (70251915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 一央 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20293334)
井田 朋智 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (30345607)
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Keywords | 配位空間 / 固体NMR / 常磁性 / 分子ダイナミクス / 核四極相互作用 |
Research Abstract |
高機能な多孔性金属錯体の開発において多孔性金属錯体や多孔性金属錯体が形成するナノサイズ配位空間に取り込まれた分子のダイナミクスの解析が極めて重要になってきている。固体重水素NMRスペクトルは物質中の局所構造や分子運動のモードや速さに応じて特徴的な線形を示し,分子ダイナミクスの解析に重要な情報を与える。本研究では固体重水素NMRスペクトルの測定法と解析法を発展させ,配位空問の研究に役立てることを目的としている。今年度は試料のマジック角回転(MAS)を常磁性試料の重水素NMR測定に応用することを目指した。MASを用いた固体重水素NMRスペクトルの測定では,核四極子相互作用や磁気双極子相互作用のような異方的相互作用によって減衰した信号はMASによって復活し,MASの周期ごとにエコー信号(rotational echo)が生じる。この一連のrotational echoを検出し,フーリエ変換することによりスピニングサイドバンドスペクトルが得られる。ただし,MASではフェルミのコンタクトシフトなど等方性シフトによって減衰した信号は復活しない。我々はこのようなMASの特徴を用い,常磁性試料のフェルミのコンタクトシフトによって異なった環境の重水素NMRスペクトルを分離して解析する方法の開発を行った。 Sm(NO_3)_3・6H_2O結晶において結晶中の配位水と結晶水のスペクトルを二次元NMR法によって分離することができた。低温では配位水のスペクトルがブロードになった。スペクトルのシミュレーションから,水分子の180°フリップが10^8s^<-1>以上の速さのときはシャープなスペクトルを示すが,180°フリップの速さが10^7s^<-1>のオーダーになるとスペクトルのブロードニングと強度の減衰が起こることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)