2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁場によるナノ配位空間の制御とナノ空間への分子磁気吸着
Project/Area Number |
18033018
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
尾関 寿美男 信州大学, 理学部, 教授 (60152493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯山 拓 信州大学, 理学部, 助手 (30313828)
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Keywords | 集積型金属錯体 / 磁場 / 吸着 / 酸素 |
Research Abstract |
Cu(ClO_4)_2、Na_2pzdc(もしくはH_2pzdc)およびpyzを用いて、Cu_2(pzdc)_2(pyz)・2H_2O^<3)>錯体(CPL-1)の生成条件を用いて、磁場(>3T)下で調製すると針状結晶が混入した。磁場強度の増加とともに針状結晶は成長し、27Tでは数百μの長さになったが、依然として混合物であった。そこで、6Tで生成した針状結晶を選び出し、これを種結晶として再度同条件で磁場調製して単結晶を得た。構造解析の結果,Cu(pzdc)(pyz)・ClO_4)であることがわかった。窒素吸着等温線によれば、細孔はほとんど消失しており、磁気吸着研究には適さなかった。磁場調製錯体は230℃でのアニーリングによってCPL-1に変換するが、6Tの磁場中では構造を保持した。 同じ溶液から合成条件を変えて調製したところ、色調の異なる青色粉末が得られた。元素分析の結果、pyzが含まれていないことが示唆され、DSCやIRからは水が多量に含まれることがわかった。粉末X線回折線をリートベルト法で解析した結果、Cu(pzdc)・2H_O)であることがわかった。結晶中の水は105℃付近で脱水し構造変化がみられるが、水にさらすと可逆的に構造が回復した。この脱水試料の窒素吸着量は少なく、脱水による細孔生成は起こらなかった。この構造は温度アニールによって新しい構造へ転換した。 磁気的に興味深い多孔性集積型金属錯体に適用するために、吸着量の多いゼオライト5Aや活性炭素繊維を用いて、磁場による酸素および水素吸着制御を行った。酸素は常磁性であるにも関わらず磁場によって脱着し、一方、反磁性である水素は磁気吸着した。これらは明らかに吸着状態の磁性あるいは局所磁場が大きな役割を果たしており、磁場による圧力応答が表面磁性に極めて敏感であることを示唆している。
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