2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18033023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松原 誠二郎 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (90190496)
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Keywords | 水熱反応 / C-H活性化 / 重水素化合物 / パラジウム / 水 / 白金 / 光学材料 / カルバゾール |
Research Abstract |
水を密閉容器内で加熱すると,圧力の上昇とともに気液平衡を保ったまま温度を上昇させる事ができる。臨界点(374℃, 22 MPa)では,気体・液体の区別がなくなり,さらに高温・高圧条件では超臨界状態になる。この沸点を超えて臨界点に達するまでの領域は亜臨界水熱状態と呼ばれている。この様な状態の水を用いた有機合成反応がすでに開発されているが,水の疎水性相互作用や水をプロトン酸として用いる事に着目した例が多数であった。我々は亜臨界水熱条件では遷移金属触媒が容易に酸化されるという事実に着目し,炭素-水素結合の活性化を軸とする分子変換反応が水を酸化剤に用いて行えると考えた。実際に,亜臨界水熱条件下,パラジウムや白金を触媒に用いることで炭化水素化合物などの炭素-水素結合の活性化により,水素-重水素交換が可能であることを明らかにした。芳香族化合物の重水素化も可能である事を明らかにした。これらの複素環化合物の中には,光学電子材料として有用なものも多く,物性研究の対象材料として産学に提供した。 以上の重水素交換では,炭素-水素結合活性化反応を経て生成した有機遷移金属化合物が生成していると考えているが,この中間体を重水素交換だけではなく,炭素,チッ素等のヘテロ原子導入反応に使用し,有機電界発光素子の材料などに有用な分子骨格を有するカルバゾールの亜臨界水熱条件を用いた,炭素-窒素結合形成を伴った新規合成法を開発した。 これまで触媒量の貴金属触媒で酸素,銅塩等の酸化剤を加えねばならない反応が水熱条件の水だけで触媒サイクルが完成している。これは,還元的脱離により炭素-チッ素結合が生成し,同時に0価の白金が生じるが,それが水により再酸化され2価白金となることを示している。余分な酸化剤を加えないので,酸化剤により容易に損なわれるアミンの保護も必要ない。
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Research Products
(5 results)