2006 Fiscal Year Annual Research Report
末端に解離基をもつ自己組織化単分子膜上での電子移動反応の電気二重層による制御
Project/Area Number |
18033026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 雅博 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60182648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (20135552)
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 助手 (10372567)
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Keywords | 自己組織化 / 電気二重層効果 / 界面錯生成 / 電位制御界面 / イオンゲート |
Research Abstract |
Au(111)電極表面に形成されたグルタチオン(GSH)自己組織化単分子膜(SAM)上での酸化還元反応は電解質溶液のpHおよび錯体を形成すると考えられている多価カチオンの濃度,価数,イオン種に依存して反応速度が何桁も変化する。これまでの報告では「ion-gating」機構によって反応速度の増加が説明されてきた。我々は、電気二重層によるポテンシャル(電位)が酸化還元反応を制御しているのではないかと考え実験および理論的に検証することを試みた。(1)グルタチオンのAu(111)表面における自己組織化膜の生成:自己組織化膜の還元的脱離の測定により長鎖のアルカンチオールに比べ吸着量が約70%となった。隣り合うグルタチオンの硫黄原子間距離は6Åになり,酸化還元体[Fe(CN)6]3-/4-が通過するようなゲートの生成は困難であることが明らかになった。(2)グルタチオン自己組織化単分子膜(GS-SAM)上での酸化還元反応:電極反応速度に与えるpHの効果[Fe(CN)6]3-/4-の電極反応速度は、pHが4以下で反応速度の上昇が見られた。グルタチオン自己組織化単分子膜のキャパシタンス測定からは,キャパシタンスの値はpHが5〜6で最小となった。このことより、pH 4では末端が正電荷を帯びていると考えられる。自己組織化膜上での電気2重層効果により負電荷を持つ[Fe(CN)6]3-/4-の電極反応速度は増大したと考えられる。(3)GS-SAM上での酸化還元反応:電極反応速度に与える多価カチオンの効果:電解質溶液にCaを10mM加えると反応速度はCa2+を加えていない場合に比べて約100倍増加した。カチオンを加えることにより、末端カルボキシル基がカチオンをとりこみ反応面の電位が正になったため、負電荷を持つ正電荷を持つ[Fe(CN)6]3-/4-の電極反応が速くなったことが示された。Ca2+濃度を1mMとし、支持電解質濃度を2mM、20mM、200mMと変化させpHが6で[Fe(CN)6]3-/4-の酸化還元反応を行ったところ、logkappは-3.5、-4.1、-4.3となり、支持電解質の濃度が減少すると電極反応速度が増加した。支持電荷質濃度が減少すると電位がより正になり,電気二重層効果で反応速度は減少する。
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Research Products
(5 results)