2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18033027
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 京都大学, 工学研究科, 教授 (20174279)
|
Keywords | 酵素様反応場 / カルベン配位子 / ヒスチジン / イミダゾール / ペプチド / ロジウム / パラジウム / 鈴木-宮浦カップリング反応 |
Research Abstract |
1、ヒスチジン由来カルペン錯体の合成 まず、両末端を保護したヒスチジンを出発原料とし、銅触媒を用いてイミダゾール環上の窒素のアリール化反応を行った。次いでこれにヨウ化メチルを作用させてイミダゾリウム塩とした。このイミダゾリウム塩にt-ブトキシカリウムを作用させてRh-カルベン錯体を合成したところ、得られたロジウム錯体は完全にラセミ化していた。そこで、Ag-カルベン錯体を経由する温和な合成方法を試みた。その結果、光学純度をほとんど損なうことなくRh-カルベン錯体を合成することが出来た。さらに、再結晶を行うことにより光学的に純粋なRh-カルベン錯体を得た。次に、得られたカルベン錯体のペプチド鎖への導入について検討した。Pd-カルベン錯体を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解した後、別途合成したペプチド鎖とのカップリング反応を行ったところ、Pd-カルベン錯体は分解することなく直接任意のペプチドへと組み込むことが出来た。 2、Pd-カルベン錯体を用いた官能基選択的鈴木-宮浦カップリング反応の開発 オクタペプチドパラジウム錯体が基質の分子内の反応点から離れた位置にある官能基と相互作用すると仮定し、ヨードベンゼンから6炭素離れた箇所に様々な官能基を持つ基質を用い鈴木-宮浦カップリング反応を行った。ブランク実験としてペプチド鎖を持たないカルベン錯体を用いた結果と比較し、それぞれの官能基がどのような影響を持つかを調べた。興味深いことに官能基としてトシルアミド基を用いた場合に顕著な差が見られた。これはペプチド鎖が基質に対して何らかの相互作用をして、反応性を上げているためと考え、次に反応点とトシルアミド基の間の炭素鎖の長さを変えて検討した。その結果、炭素鎖長による反応性の違いはほとんど見られず、トシルアミド基の位置選択的な認識が出来ていないことがわかった。
|