2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18033027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20174279)
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Keywords | ヌクレオシド型NHC金属錯体 / ロジウム / イリジウム / ルテニウム |
Research Abstract |
NHC金属錯体を備えたオリゴヌクレオチドを合成することを目的に研究を行った。まず天然のプリン塩基であるアデニン、グアニンをモデル系として実験を行ったが、目的の実現が困難であることがわかった。アデニンでは位置選択的なアルキル化が難しく、グアニンでは生成物のハロゲン化物の極性が高く、扱いが困難であることがわかった。また、アデニンやグアニンなど含窒素複素環化合物は様々な箇所で金属錯体を形成する傾向があり、目的のカルベン錯体を合成する際にいろいろな箇所での配位が競合するおそれがある。これらの理由から次に、我々はよりシンプルな含窒素複素環化合物であるイミダゾール、ベンズイミダゾールについて検討した。 オリゴヌクレオチド錯体の逆合成解析により、市販の2'-デオキシ-D-リボフラノーズを用いることができる。3、5位が保護されたイミダゾール、ベンズイミダゾールヌクレオシドの合成は、Hoffer's chloro sugarを経由する合成法が適していることがわかった。反対に、NHCの前駆体であるイミダゾリウム塩をアルキル化によって直接合成できる1-メシチルイミダゾールを用いたときは塩化糖が溶液中で分解するため合成できなかった。 目的のカルベン錯体を合成するためのイミダゾリウム塩は、核酸塩基の窒素をアルキル化することで合成した。合成したイミダゾリウム塩は酸化銀との反応で様々な銀カルベン錯体を合成するのに適していることがわかった。この銀カルベン錯体はロジウム、イリジウム、ルテニウムのような遷移金属とトランスメタル化することが可能であった。この方法によって、目的の新規ヌクレオシド型NHC金属錯体をカチオン錯体として得ることができた。また、ベンゾイル保護のついたロジウム錯体やイリジウム錯体ではモノカルベン錯体として得られることもわかった。
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