2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体集積体の時空間制御による低次元性ナノストレス配位空間の構築
Project/Area Number |
18033031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川田 知 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10211864)
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Keywords | 配位空間 / アルキルアミン / クロラニル酸 |
Research Abstract |
本研究では、一次元あるいは二次元遷移金属錯体集積体をフレームワークとする低次元性ナノストレス配位空間に焦点をあて、ストレスを貯蔵する層状化合物の構築を行った。大きな運動性と自由度を有し、ΔSの"貯蔵"を可能とする長鎖アルキル鎖を導入した層状化合物の構築をクロラニル酸(H_2CA)-銅(II)錯体と長鎖アルキルアミンを用いて行った。ジアミノドデカン(dad)とジアミノヘキサン(dah)を用いたところ、五配位の単核錯体が水素結合により層状に配列した{(H2dad)[Cu(CA)_2(H_2O)](H_2O)}_nと{(H_2dah)[Cu(CA)_2(H_2O)](H_2O)}_nが得られた。しかし、その集積構造は昨年度得られたヘキシルアミンを用いた集積体{(Hham)_2[Cu(CA)_2(EtOH)_2]}とは異なり、水素結合により隣接する錯体層同士を連結するようにアルキルアミンが存在するというものであった。また、ジアミノヘキサンの場合は、同一の錯体層内の2つの錯体を連結するようにアルキルアミンが存在しており、その錯体2分子とそれらの周りを包み込むdahを1単位としてそれが水素結合によって積み重なった複合体であった。一方、ジヘキシルアミン(dha)は他の化合物とは異なり、配位結合で結合した[Cu_2(CA)_3]^2のハニカム構造の平面錯体層が存在し、dhaがそのハニカム内の空孔を貫入しており、水素結合により錯体層同士を連結した複合体であった。以上の結果は、アルキルアミン導入により配位空間の疎水性あるいは親水性制御が可能であることを示している。
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