2006 Fiscal Year Annual Research Report
配位空間制御による点・線・空間の磁気相関発達の系統的研究
Project/Area Number |
18033042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮坂 等 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (50332937)
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Keywords | 配位空間 / 単一次元鎖磁石 / 単分子磁石 / 磁気相関 / 次元制御 |
Research Abstract |
本研究者が提唱する孤立一次元磁性鎖である単一次元鎖磁石の合理的設計法を基に、S=7/2強磁性単一次元鎖磁石を開発した。この単一次元鎖磁石の磁化緩和を詳細に調べたところ、ただ一つの鎖内相関(J)で連結した一次元磁性鎖ではなく、J_1とJ_2の大きさの異なる二種類の交換相互作用で連結した交互一次元磁性鎖であることがわかった。そのため、磁化緩和エネルギー障壁は、regular鎖のΔ1=8JS^2+|D|S^2ではなく、Δ_<DSF>=8J^2S^2+2|D|S^2で表されるdouble-spin flip機構により磁化緩和が起こっていることを実験で初めて明らかにした。 同様な合成戦略で、S=2とS=1/2のフェリ磁性鎖も、配位子の異なる一連の化合物群を系統的に合成することに成功した。配位子を修飾していることにより、鎖内よりも鎖間の環境が異なる。そのため、鎖問の相互作用を変化させることに成功し、単一次元鎖磁石と三次元的な相関の発達を実験レベルで捉えることに成功した。これらの化合物が、鎖内の単一次元鎖磁石由来の磁化緩和と共に鎖内の弱い反強磁性的短距離秩序および長距離秩序を同時に起こす極めて珍しい化合物群である。この相反する磁化ダイナミクス挙動がどのように関わっているのかは今後の検討課題であるが、磁化緩和挙動をアウトプットとして、相関の発達の機構を解明できる可能性があり、ナノサイエンスの量子挙動からバルクの古典的挙動への変遷をモニターできるかもしれない。
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