2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子性多孔質空間に取り込まれた巨大水ナノチューブの相転移と機能性
Project/Area Number |
18033049
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田所 誠 東京理科大学, 理学部, 淮教授 (60249951)
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Keywords | 水クラスター / 超分子 / ナノ多孔質結晶 / 相転移 / 構造水 / 中性子線解説 / 立方晶氷 / 水素結合 |
Research Abstract |
細胞内の構造水も含めて、タンパク質などの生体分子に接する水は、直接その分子と水素結合している束縛水(T_1〜10^<-7>sec) (T_1=水溶液中の^1Hの縦緩和時間)だけではなく、さらに外側の第2水和圏(T_1〜10^<-9>sec)や第3水和圏(T_1〜10^<-12>に存在する結合水が関係し、階層的な3層構造をとっているものと考えられている。これらの構造水はすべて生体の機能性の発現や超分子構造の維持に重要なものである本研究では分子性のナノ細孔内で、水の集団的な挙動を示す特異な水野クラスターモデルを合成化学的に作り上げ、科学的なアプローチからその構造や物性を制御することによって水の性質を明らかにしようとするものである。すなわち、我々は錯体化学的な合成化学的なアプローチによって"Nanometer-Scale"の1次元チャネル型空孔をもつ分子性多孔質結晶を構築し、その細孔内に閉じ込められたクラスター水の性質を実験室レベルで明らかにすることを計画した。 我々が合成した分子性の一次元チャネルを持つ多孔質結晶の中で、ナノサイズ空孔に沿って水分子のチューブ状クラスターである。"Water-Nanotube"を構築していることが分かった。この水クラスター自身が空孔内で水から氷への相転移挙動をもち、ほぼ0℃から連続的な相変化を起こして、-38℃で固化した"Ice-Nanotube"になる。この実験系では、X線結晶構造解析によって、1つ1つの水分子の状態を観察しながら、"水の固体-液体の相転移挙動"を考えられる。相転移温度以下でのIce-Nanotubeの構造では、第1層目の水分子は環状5,6,8量体の多面体からなるチューブ状構造をとっている。第2層目あるいは第3層目には水分子の水素結合だけからなる特殊な構造をもつことがわかった。シクロヘキサンのイス型異性体のような水分子の環状6量体がスピロタイプで結合していた。これは潤安定な氷の多形である立方晶系I_cの部分構造と同じである。この構造はI_cの氷核成長する結晶胚芽(crystal embryo)の全く新しいモデルの1つである。また、このスポロビヘキサマー同士の結合部部bんに、特殊な水のテトラッマー(液体部分)が存在している。狭い環境にある水の氷点が下がるのは、外壁との強い相互作用によってこのような異常な形態の水分子を凍らせるためであり、その特殊な氷構造をみた最初の例である。一方、昨年度に中性子線結晶構造解析、および中性子散乱の実験にも成功し、Water-Nanotubeの構造や室温で動いている水分子の拡散速度などの運動を明らかにすることに成功した。Water-Nanotubeの内部で運動している水はバルクの水の運動よりも4倍近く速く運動することがわかり、構造見ずによって束縛された水分子が通常の水より速く運動できることを見いだした。
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[Journal Article] A High-Conductive Crystal Containing a Copper(I) Coordination Polymer Bridged by the Organic Acceptor TANC2006
Author(s)
Makoto Tadokoro, Syuma Yasuzuka, Masaharu Nakamura, Takumi Shinoda, Toshinori Tatenuma, Minoru Mitsumi, Yoshiki Ozawa, Koshiro Toriumi, Harukazu Yoshino, Daisuke Shiomi, Kazunobu Sato, Takeji Takui, Tatehiko Mori, Keizo Murata
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Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed. 45
Pages: 5144-5147
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