2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18033051
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山口 正 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (40230362)
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Keywords | 金属錯体化学 / 電位勾配 / デンドリマー |
Research Abstract |
本研究はルテニウム三核錯体,[Ru3O(RCO2)6(L)3]n+を4,4'-bipyridineにより架橋したデンドリマー型十量体の末端配位子や架橋カルボン酸を変化させ,電位勾配を有する十量体を合成することを目的としている。本年度は4-dialkylaminopyridineを合成し,これを末端配位子とし,中央部のRu三核ユニットとして安息香酸架橋のユニットを配した錯体を合成し,その電気化学的挙動を調べた。 まず始めにアルキル基をドデシル基(C11H23-)としたデンドリマーを合成し,そのサイクリックボルタモグラム(CV)を測定した.ボルタモグラムはこれまでのCVと異なり非常にシャープなピークを示した.特に分岐ユニットのRu3(III,III,III)/Ru3(III,III,II)過程の再酸化波が対応する還元波に比べて異常にシャープになっている.これはアルキル鎖長を長くしすぎたために,作用電極と相互作用が大きくなったために,逆に吸着波に近い挙動を示したと考えられる.そこでアルキル鎖長を中程度としたBu誘導体を合成した.そのCVはこれまでに合成したdmap誘導体と同様のCVを示した.しかし,dmapの場合と異なり掃引速度を変えても新たなピークは出現しなかった.そこで,掃引速度を変えて微分パルスボルタモグラム(DPV)を測定した.中央ユニットに関するピークについて見ると,還元方向の掃引ではピーク位置は掃引速度に依存していないにもかかわらず,酸化方向では非常にわずかではあるが掃引速度を増加させると正電位側にシフトしている様に見える.しかし,この変化は非常に小さいため,溶媒,支持塩作用電極を変化させて測定を行い確かめる必要があると考えられる.
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