2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子磁石の空間配置制御-単一分子磁石の多量体化と骨組み構造への取り込み-
Project/Area Number |
18033054
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
黒田 孝義 Kinki University, 理工学部, 教授 (80257964)
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Keywords | 単一分子磁石 / Mn12核錯体 / Fe(II)スピンクロスオーバー錯体 / Schiff塩基配位子 / 架橋配位子 |
Research Abstract |
1)Mn12系単一分子磁石の隔離 約15-20Åの分子サイズを有するMn12核錯体を、配位高分子の骨組み構造に取り込ませるための検討を行い、種々の長さを有する架橋配位子を用いてZn(N-N)_2X_2から成る骨組み構造にMn12核錯体を取り込んだ化合物を得た。交流磁化率測定では単一分子磁石の特性が確認できた。これまで、Mn12核錯体の種類や電荷、また架橋配位子の種類も変えて種々検討したが、単結晶化には成功していない。 2)平面性4座配位子によるFe(II)スピンクロスオーバー(SCO)錯体の形成 salphen系Mn(III)錯体で単一分子磁性を示す水素結合二量体錯体が得られたが、同じ配位子を、Fe SCO系に適用し、ピラジンで架橋された2種の一次元錯体ポリマーの合成と、その構造解析に成功した。これらは平面配位子のπ系の広がりが異なり、1ではベンゼン環、2ではナフタレン環を有しているが、錯体単体ではほぼ類似の構造を有する。ところが、その磁性は大きく異なり、1はSCOを示すが、2は低温まで高スピンを示した。構造を詳細に検討した結果、2ではナフタレン部分と隣りの一次元鎖の平面配位子との間のπ-π相互作用により、一次元鎖が伸び、高スピン状態となっていることが明らかとなった。1のSCO特性は210K付近で急峻な2段階の転移を示しており、大変興味深い。また、平面性配位子への種々の置換基の導入により、SCO特性に及ぼす影響についても検討する必要がある。
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