2006 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノクラスターの触媒活性を発現するためのマトリクス開発
Project/Area Number |
18033056
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助教授 (00262147)
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Keywords | 金ナノクラスター / 空気酸化 / 触媒 / 機能性高分子 / アルコール |
Research Abstract |
金はバルク状態では触媒活性を示さないが、サブナノメートルサイズまで微粒子化すると、極めて高い空気酸化活性を示すことが明らかになってきている。金ナノクラスターを用いた擬均一系触媒環境を構築するためには、金クラスターの凝集を防ぎ、高分散状態を保ち、かつ反応溶媒に対する高い親和性を確保する最適な保護分子の選択が必要である。これらに加え、金ナノクラスターと保護分子間との電子的・立体的影響を明らかにすることも重要な課題の一つである。本研究は、高い触媒活性を示すサブナノメートルサイズの金クラスターの機能を最大限に発現できるような、弱い相互作用を用いた配位空間の創出を目的としている。 今年度は、ポリ(ビニルピロリドン)で保護された平均粒径1.3nmの金ナノクラスター触媒の空気酸化活性について広く知見を得るために、各種の反応についての適用範囲などについて精査した。その結果、アルコール酸化反応においては、金ナノクラスターは幅広い基質に対して適用可能であり、1級アルコールについてはカルボン酸へ、2級アルコールに関してはケトンへ、それぞれ高収率で変換できることを明らかにした。反応温度もほぼ室温付近で進行する。特にインダノールに代表される芳香族2級環状アルコールに関しては、反応は極めて速やかに進行し、数回にわたる回収、再利用が可能であることがわかった。しかしながら、1級アルコールの系に関しては、生成物であるカルボン酸が金クラスターの凝集を促進するために粒子の成長が観測され、回収再利用することが出来ない。したがって、今後カルボン酸による凝集を防止する適切なマトリクスの開発が必要であることもわかった。
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