2007 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノクラスターの触媒活性を発現するためのマトリクス開発
Project/Area Number |
18033056
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 Institute for Molecular Science, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (00262147)
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Keywords | 金ナノクラスター / 星形ポリマー / 単分子ミセル / ルイス酸触媒 / 水中反応 |
Research Abstract |
金はバルク状態では触媒活性を示さないが、サブナノメートルサイズまで微粒子化すると、極めて高い空気酸化活性を示すことが明らかになってきている。金ナノクラスターを用いた擬均一系触媒環境を構築するためには、金クラスターの凝集を防ぎ、高分散状態を保ち、かつ反応溶媒に対する高い親和性を確保する最適な保護分子の選択が必要である。本研究は、高い触媒活性を示すサブナノメートルサイズの金クラスターの機能を最大限に発現できるような、弱い相互作用を用いた配位空間の創出を目的としている。 今年度は、大阪大学の青島等によって開発された、水溶液中単分子ミセルを形成する星形ポリマーを金ナノクラスターの保護分子として用いて、アルコールのカルボン酸への直接酸化反応について検討した。その結果、本触媒が極めて高活性かつ回収再利用が容易であることを見いだした。 一方、ポリビニルピロリドンで保護された金ナノクラスターが、水溶液中、空気雰囲気下において、ルイス酸触媒としての反応性を示し、アルケンへのアルコールの分子内付加反応を触媒することを明らかにした。本反応は無酸素雰囲気下や、酸素吸着活性を示さない粒子サイズの大きな金クラスターでは進行しないことから、酸素の吸着過程がルイス酸活性の発現に不可欠であり、通常のルイス酸触媒とは全く異なる性質を有していることを明らかにした。
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