2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポテンシャル勾配を有する高分子内空間における自在金属集積と電子物性の解明
Project/Area Number |
18033058
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
樋口 昌芳 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ有機センター, 主幹研究員 (80306852)
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Keywords | ハイブリッドポリマー / 自己集合 / 電子・光材料 / ナノ材料 |
Research Abstract |
π共役有機配位子を用いて高分子主鎖に金属イオンを導入すれば、電子移動特性に優れた有機-金属ハイブリッドポリマーが得られるだけでなく、電位や磁場や光によって金属の電子状態を変化させることで、その電子・光・磁性を可逆に制御できると期待される。 ポテンシャル勾配を有する特異構造高分子を設計・合成し、高分子内ナノ空間における金属イオン及びクラスターの自在集積の実現を目的として、棒状の有機-金属ハイブリッドポリマーの合成に成功した。ビス(ターピリジル)ベンゼンを有機モジュールとして用い、酢酸鉄と錯形成させることで、青紫色のハイブリッドポリマーを得た。このポリマーをITO電極にキャストし、アセトニトリル中で電気化学的に酸化したところ、ポリマーフィルムが無色に変化した。逆に還元電位を印加すると、フィルムはもとの青紫色に戻った。この変化は可逆であり、このハイブリッドポリマーが優れたエレクトロクロミック特性を有することを見出した。 ポリマーの発色は、金属からターピリジン部位への電荷移動吸収によって生起する。従って、ターピリジンのLUMOポテンシャルを変えれば、ポリマーの発色の制御が可能となると予想される。そこで、電子吸引基としてブロモ基を、また電子供与基としてアルコキシ基を導入したビス(ターピリジル)ベンゼンを設計・合成し、それらの有機モジュールと用いてハイブリッドポリマーを合成したところ、それぞれ緑色、および青色となり、以上の結果から、ターピリジンの電子状態を置換基の導入によって変えることで、ハイブリッドポリマーの色を制御できることが判明した。 また、電子線回折と分子モデリングを組み合わせることで、結晶中におけるハイブリッドポリマーの高分子構造を明らかにすることに成功した。
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