2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロTPCを用いた超対称性暗黒物質直接検出の為の地上・地下実験による基礎研究
Project/Area Number |
18034003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (80362440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南條 創 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (40419445)
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Keywords | マイクロパターンガス検出器 / 二次元画像装置 / TPC / 暗黒物質 / 地下実験 |
Research Abstract |
平成18年度の研究では、(1)京大タンデムを用いたマイクロTPC性能評価実験のための準備実験(2)マイクロTPCによる地上実験室での暗黒物質探索実験、および地下実験の開始、を行った。 (1)京大タンデムでの実験に使用するためのTiDターゲットを電気分解法によって製作した。重粒子ビーム(d)がターゲット中の重水素(D)と反応して、中性子とヘリウム3原子核を生成、ヘリウム3原子核をシリコン検出器で検出、中住子をマイクロTPCに照射することを目的としている。 作成したターゲットを真空槽に設置、タンデムのビームラインに接続した。二度のビーム試験を行い、一度目は4メガ電子ボルト程度に加速した重陽子ビームをターゲットに照射、近傍に設置したシリコン検出器でエネルギースペクトルを取得した。この結果、データ収集システムの動作が確認され、重陽子の弾性散乱事象が実際の事象に対する大きな背景事象となることが判明した。この結果を踏まえて、重陽子ビームに減速材(75マイクロメートル厚のアルミニウム)、シリコン検出器の前に弾性散乱の遮蔽材(0.8マイクロメートルのアルミニウム)を設置し、二度目のビーム試験を行った。この結果、弾性散乱による重粒子事象は排除され、シリコン検出器でヘリウム3原子核のスペクトルが取得された。平成19年度は中性子検出器を用いて中性子が生成されていることを確認したのち、マイクロTPCを設置してマイクロTPCの性能評価実験を行う。 (2)30cm角マイクロTPCを用いて、地上実験室での暗黒物質探索実験を行った。地上であるために中性子バックグラウンドによって暗黒物質への感度が制限されているが、方向に感度を持つ手法としてはじめて暗黒物質と通常の物質との反応率に対して制限をつけた。この結果を論文としてまとめ、Physics Letters B誌に投稿した。30cmマイクロTPCを平成19年1月に東京大学宇宙線研究所神岡宇宙粒子地下実験室に設置、宇宙からの放射線バックグラウンドが低い条件下での観測を開始した。
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Research Products
(3 results)