2006 Fiscal Year Annual Research Report
アトラス実験でのTeVミューオンによる余剰次元の発見
Project/Area Number |
18034005
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 礼三郎 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (90325077)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅野 行成 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (80260412)
|
Keywords | LHC / アトラス実験 / 余剰次元 / ゲージ・ボソン |
Research Abstract |
LHC加速器でのアトラス実験におけるDrell-Yan過程pp→γ*/Z→μ+μ-により、TeVエネルギーのミューオンによる余剰次元または新しいゲージ・ボソンZ'の発見のための研究を行った。余剰次元モデルでは、ADDモデルによるゲージ・ボソンのKaluza-Klein励起状態や、Randall-Sundrumワープ・モデルによる重力子のKK共鳴状態を予言している。また余剰次元モデルに限らず、新しいゲージ・ボソンZ'の存在を予言するモデルも多い。これらの標準模型を超える物理を、LHC実験開始後平成20年度までに蓄積される10 fb-1のデータで、質量が3TeVまでの領域で理論のモデルに依らない方法で探索するための研究を行なった。コライダー実験により余剰次元すなわちブレーンワールドもしくは新しいゲージ・ボソンが発見されれば、素粒子物理学に与えるインパクトは大きい。Drell-Yan過程pp→γ*/Z→μ+μ-による余剰次元やZ'の探索のためには、これまでのアトラス実験の簡易シミユレーションATLFASTを用いた研究では不十分である。TeVエネルギーのミューオンによる物理のために以下の研究を行った。(1)TeVミューオンによる輻射のエネルギー補正:このエネルギーではミューオンも電子のように輻射をする。カロリメーターにミューオンの飛跡に随伴して観測されるγによる電磁シャワーのエネルギー補正アルゴリズムの開発を行い、この効果は無視できないことを見出した。(2)新粒子によるμ+μ-対の不変質量および崩壊幅の決定方法について研究を行った。TeVミューオンの場合、検出器の分解能と新粒子の自然崩壊幅が同じ程度であることがあり、その決定が難しい。そのため検出器の分解能を他の物理プロセスにより決定し、検出器分解能の畳み込みによるBreit-Winger共鳴の決定方法を開発した。
|