2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素-炭素結合の活性化に基づく効率的分子変換法の開発
Project/Area Number |
18037007
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三浦 勝清 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (20251035)
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Keywords | 白金 / ビニルシラン / ビニル白金 / 白金カルベン / アリル化 / 加アルコール分解 / アルケン化 / α,β-不飽和エステル |
Research Abstract |
1.白金触媒によるビニルシランと求電子剤の反応 触媒量の二塩化白金とヨウ化リチウムの存在下、β-置換ビニルシランとアルデヒドを反応させると、ビニルシランのβ位で反応が進行し、アリルシリルエーテルを収率良く与えた。ビニルシランの求核付加反応は、通常、α位で進行することが知られており、本反応は極めて新奇な反応である。本反応では、まずケイ素-白金交換反応によりビニル白金中間体が生成する。これがβ位でアルデヒドと反応して白金カルベン中間体となり、1,2-水素移動を伴う白金の脱離により、アリルシリルエーテルが生成すると考えられる。トリメチルシリル基を有するビニルシランの触媒的活性化、白金塩の新奇な触媒作用という観点からも、注目に値する研究成果である。同様の条件下、アセタールとの反応を行うと、この場合も主にβ位での反応が進行した。しかし、反応効率は低く、副反応としてアセタールのアリル化が進行した。触媒系について再検討した結果、二塩化白金とトリフルオロメタンスルホン酸銀を用いると、アセタールのアリル化が効率良く進行することがわかった。 2.白金触媒によるビニルシランの加アルコール分解 触媒量の四ヨウ化白金の存在下、(Z)-1-トリメチルシリル-1-ドデセンをメタノール中で反応させると、1-メトキシドデカンが生成した。この反応もビニル白金および白金カルベン中間体を経由すると考えられる。反応効率の向上を目指して、触媒系の最適化を引き続き行っている。 3.α,α-ビス(ジメチルシリル)エステルを用いるカルボニル基のアルケン化 ジメチルスルホキシド中、α,α-ビス(ジメチルシリル)エステルが室温、無触媒でアルデヒドと反応して、α,β-不飽和エステルを高収率、高E選択性で与えた。ケトンの反応は、添加剤として硫酸リチウムを用いると効率良く進行した。このように、極めて穏和な条件下でのカルボニル基のアルケン化に成功した。
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