2006 Fiscal Year Annual Research Report
高性能不斉触媒の開発を基盤とする不飽和有機化合物の高度分子変換
Project/Area Number |
18037011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今本 恒雄 千葉大学, 理学部, 教授 (10134347)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / 光学活性アミノ酸 / 不斉ホスフィン配位子 / 不斉水素化 / ロジウム錯体触媒 / イリジウム錯体触媒 / 光学活性アミン / 不斉1,4付加 |
Research Abstract |
光学活性アミンは医農薬品の合成中間体として重要なものが多く,その高効率的合成法の確立が望まれている。イミンの不斉水素化はこれらの化合物の効率的な供給法と考えられるが,反応を完結させるためには一般に高い水素圧が必要とされている。最初に反応が常圧下で進行する条件について検討した結果,イリジウムの対イオンとしてテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート(BARF)を用いた場合に常温,常圧下で水素化が進行することを見いだした。この知見に基づいて,キラル配位子について検討した結果,t-Bu-BisP*が最も高いエナンチオ選択性を示した。次に本反応の適用範囲を明らかにするために,種々の置換基を有するイミンの不斉還元を試みた。本還元反応の適用範囲は鎖状の芳香族N-アリールイミンに限られるが,いずれも常圧下で反応が進行し,最高99%eeで還元生成物が得られた。これらの極めて高いエナンチオ選択性の発現は,遷移状態で窒素上の置換基と配位子上のt-ブチル基との立体反発を考慮することによって矛盾無く説明できる。 先に設計・合成した(R,R)-2,3-ビス((tert-ブチル)メチルポスフィノ)キノキサリン(QuinoxP*)の大量合成について検討し,最適な反応条件を確立した。本配位子は日本化学工業株式会社で製造され,Aldrich社より試薬として販売が開始された。また,本配位子をRh-およびPd-錯体触媒による不斉炭素一炭素結合形成反応に適用し,その有用性を示した。今回,Ru-錯体触媒β-ケトエステルの不斉水素化に適用し,その不斉触媒能を調べた。その結果,β-位にアリール基を有するケトエステルにおいても99%以上のエナンチオ選択性が観測された。 一方,Pd-錯体触媒による活性メチレン化合物とアリルアセテートとの反応では,70-95%のエナンチオ選択性が見られた。
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Research Products
(3 results)