2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18037018
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | タングステンカルボニル / アルキンの求電子的活性化 / 多機能性遷移金属錯体 / ビシクロ[3.3.0]オクタン骨格 / ビシクロ[5.3.0]オクタン骨格 / シロキシジエン / ジビニルシクロプロパン転位 |
Research Abstract |
本研究ではアルキンの求電子的な活性化に基づいて多機能性遷移金属活性種を創製し、有用な炭素骨格を簡便に構築する手法の開発を目的に検討を行った。すでに我々は、アルキン部位を有するシロキシジェンに触媒量のW(CO)_6存在下光照射を行うと、π配位によりアルキン部位が求電子的に活性化され、これに分子内のシロキシジェン部位が求核攻撃することにより、ビシクロ[3.3.0]オクタン誘導体が好収率で得られることを見いだしている。本研究ではまず、反応点部位を連結する部位に窒素原子を含むシロキシジエンを基質とする反応について検討を行い、これに光照射下W(CO)_6を作用させると、同様にビシクロ[3.3.0]オクタン骨格を有する含窒素化合物が良好な収率で得られることを見いだした。さらにアルキン末端にアルケニル基の置換したエンイン部位を有するシロキシジエンに対し、触媒量のW(CO)_6を光照射条件下、室温で作用させることにより、目的とするビシクロ[5.3.0]デカン骨格を有するシリルエノールエーテルを好収率、かつ立体選択的に得ることができることを見いだした。本反応はπ配位によりアルキン部位が求電子的に活性化され、これに分子内のシロキシジエン部位が求核攻撃することにより、双性イオン中間体が生じる。次いでこのa, b-不飽和シリルオキソニウム部位のオキソニウム炭素に分子内のアルケニル金属部位のβ位が求核的に攻撃しジビニルシクロプロパン中間体が生成し、ここからCope転位が速やかに進行し生成物を与えたものと考えられる。本反応は、様々な置換基を有する基質に適用でき、生理活性天然有機化合物に頻繁にみられるビシクロ[5.3.0]デカン骨格を立体選択的に構築できる優れた反応である。
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Research Products
(6 results)