2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18037038
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
小松 紘一 福井工業大学, 工学部, 教授 (70026243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 靖次郎 京都大学, 化学研究所, 准教授 (40314273)
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Keywords | 水素内包フラーレン / 分子手術法 / 有機合成 / C60 / C70 / 温度可変NMR / セレン / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
新世代の炭素ナノマテリアルの重要な基幹材料になると期待されているにもかかわらず、その製造効率が極端に低いため応用開発が大きく立ち後れていた内包フラーレン類の効率的有機合成のための分子変換技術を確立することを目的に本研究を行ない、下記に示す結果を得た。 1、1個および2個の水素分子を内包したフラーレンC_<70>の合成 既にC_<60>を用いる実験において確立した、含窒素芳香環との液相熱反応を用いる開口部形成反応を応用し、より内部空間の大きなフラーレンC_<70>を原料として、ジピリジルピリダジンとの液相熱反応を行ない、続く開口部拡大反応の後、高圧水素を作用させることにより、1個および2個の水素分子を内包した開口C_<70>を、97:3のモル比で合成した。低温での温度可変NMRにより、内包された2個の水素分子は活性化エネルギー8kcal/molで、互いに速い位置交換を行なっていることを見出した。さらに開口部を閉鎖することによって、水素1分子および2分子を内包したC_<70>、すなわちH2@C_<70>と(H_2)_2@C_<70>を合成し、全収率1%と僅かではあるが、2分子内包体(H_2)_2@C_<70>の単離に成功した。 2、より大きな開口部をもつフラーレンC_<60>誘導体の合成 先に我々が報告した「分子手術法」においては、12員環の開口部をもつC_<60>をTDAEで活1生化して開口部に硫黄を導入した。今回はTDAEの代わりに2当量のNa^<+->SMeを用い、次いでセレンを作用させることによって、硫黄に代わってセレンを含む13員環開口部をもつC_<60>誘導体を合成した。X線結晶構造解析の結果、この開口部は硫黄を含むものよりさらに拡大されていることを確認した。
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Research Products
(6 results)