2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジメタラベンゼンを反応剤とする含典型元素パイ電子系炭素分子の効率的合成
Project/Area Number |
18037052
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河内 敦 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70260619)
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Keywords | ジメタラベンゼン / フルオロシラン / 含ケイ素ポリマー / 玉尾酸化 / カップリング |
Research Abstract |
これまでにわれわれは,σブロモ(ジメチルシリル)ベンゼン(1)およびσブロモ(フルオロジメチルシリル)ベンゼン(2)にEt_2O中tert-BuLiを作用させると,ケイ素部位への求核攻撃は起こらず,選択的に臭素-リチウム交換反応が進行し,(ジメチルシリル)フェニルリチウム(3)および(フルオロジメチルシリル)フェニルリチウム(4)が生成することを見出している。本研究では,3および4の酸化的カップリングにより2,2'-ビス(ジメチルシリル)ビフェニル(5)および2,2'-ビス(フルオロジメチルシリル)ビフェニル(6)を合成することを検討し,これに成功した。 フェニルリチウム3にシアン化銅を作用させてフェニル(シアノ)クプラートを系中で発生させた。これに酸化剤としてp-ジニトロベンゼンを加えると,ビフェニル体5が収率74%で得られた。5に4モル量のフッ化銀を作用させることでフッ素置換体6へほぼ定量的に変換することができた。一方,4では,シアン化銅を用いた場合には二量化が優先して起こり,9,9,10,10-テトラメチル-9,10-ジヒドロ-9,10-ジシラアントラセンのみを与えた。これに対して,4に3モル量のCu(OPiv)_2を用いると,フェニルクプラートの生成と酸化的カップリングが進行し,ビフェニル体6を収率66%で得ることに成功した。ビフェニル体5および6のケイ素原子上の2つのメチル基はジアステレオトピックであった。温度可変^1H NMRにおけるその融合温度から,C(sp^2)-C(sp^2)単結合の回転障壁を,ΔG^‡_<371>=81kJ/mol(5)およびΔG^‡_<401>=83kJ/mol(6)と見積もることができた。
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Research Products
(3 results)