2006 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量GTPaseの活性化動態の定量解析技術の開発と医学への応用
Project/Area Number |
18038031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 修司 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (50379400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝哉 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20251655)
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Keywords | Ras / Rho / 定量的解析 |
Research Abstract |
低分子量GTPaseであるRasファミリーとRhoファミリーは、細胞内シグナル伝達のON/OFFを制御する分子スイッチとして機能しており、これらの活性調節異常は癌の発症に深く関与している。我々は、活性型低分子量GTPaseとエフェクター分子の特異的な結合特性に基づき、様々なエフェクター分子由来のポリペプチドプローブを作製し、低分子量GTPaseの活性化を免疫染色の要領で検出する方法を開発した。18年度は、Rasに対する新規プローブの開発を目指して、候補に挙がったエフェクター分子からプローブを作製し、低分子量GTPaseに対する特異性の検討を行った。また、プローブの検出感度の向上を目指して、エフェクター分子の結合ドメインを複数個繋ぐ事により結合力の強化を図った。活性の定量化法としては、データの客観性を高める手段として、プローブの検出を酵素免疫染色法(ELISA)で行う比色定量法を開発した。また、共焦点顕微鏡で撮影した蛍光免疫染色画像の蛍光強度をデジタル解析する事で、細胞内の低分子量GTPaseの活性の強さを3次元的に視覚化する事が可能になった。今回作製したプローブを用いて、癌培養細胞を検討したところ、Rasの恒常的活性型変異を有する癌細胞(SW480、PANC-1)では内在性Rasの活性が強く検出された。この結果は、従来法である細胞可溶化液を用いて行うプルダウンアッセイの結果と一致していた。細胞機能の多くは、複数の低分子量GTPaseの複雑なクロストークによって制御を受けている事から、さらに低分子量GTPase毎に異なる蛍光波長で検出する事ができるプローブを作製した。低分子量GTPaseの活性型変異体を発現する細胞で検討したところ、これらのプローブを用いれば二つの低分子量GTPaseの活性を同一細胞上で同時に検出し、比較する事ができる事がわかった。
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