2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18039008
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 孝嘉 電気通信大学, 特任教授 (60087509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 英司 東京理科大学, 理学部, 講師 (70242170)
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Keywords | フェムト秒レーザー / 時間分解分光 / ポリジアセチレン / Auger過程 |
Research Abstract |
ポリジアセチレンに光を照射すると、その励起状態においては構造変化に基づき分子振動の周波数が変化する。この動的過程は、光化学反応における分子構造変化過程の基礎になると考え、励起状態における構造変化の様子を実時間分光により測定した。その結果、結合音と分子振動モード間のパラメトリック相互作用をはじめて観測することに成功した。すなわち、Auger過程により双極子-双極子相互作用した2個の励起子のうち1個はほぼ2倍のエネルギーを持った励起子の励起状態に遷移するが、その高いエネルギーのため、基底状態の高い振動順位(励起子の電子エネルギーの2倍もの振動準位)に高速に緩和すると考えられる。この高い振動励起準位ではその非調和性が顕著であり、倍音や結合音成分が期待される。これらの非調和性により発現された振動モードはAuger過程がその起源であるとすると励起光強度の2乗に比例すると考えられる。今回、結合音の励起光強度依存性を調べた結果、確かに2乗に比例していることが確かめられ、Auger過程がその起源であることが明らかになった。さらに、差周波も低周確であるにもかかわらず、振動励起子の相互作用の結果として発生したものと考えられる。これは、励起子間のパラメトリック相互作用であり、電子のやり取りと同時に振動エネルギーのやり取りが行われていることを示している。 さらに、スチルベンの異性化反応、インジゴカルミンのプロトン移動反応などの機構解析も行った。
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Research Products
(12 results)