2006 Fiscal Year Annual Research Report
らせん状に集積されたロタキサン組織体の構築と動的特性
Project/Area Number |
18039010
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40179445)
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Keywords | らせん / π共役系 / ロタキサン / インターロック / ヘリセン |
Research Abstract |
本年度の研究は、ロタキサン構造を持つ新規アセチレンモノマーを合成し、その重合により得られるらせん高分子の構造を明らかにすることに重点を置いて行った。2級アンモニウム塩構造を持つ軸成分と輪成分となるdibenzo-24-vrown-8-etherから末端封鎖法により対応するロタキサンを合成した。末端封鎖剤として、アセチレン基を含む安息香酸無水物を用いることで、軸末端にエチニル基をもつロタキサンを合成した。同様の方法により、輪成分上に光学活性基であるマンデル酸エステル構造を持つロタキサン、並びにアンモニウム窒素上をアセチル化した塩構造を持たないロタキサンを合成した。これら4つのロタキサンをロジウム錯体を触媒として重合させたところ、それぞれ対応するポリマーが赤色の固体として得られた。ポリマーの構造は、IR、NMR、CD、ラマンスペクトルの他、GPCにより評価した。その結果、アンモニウム塩構造を保持したポリマーはクロロホルムに不要であったが、アンモニウム窒素上がアシル化されたポリマーは各種有機溶媒に可溶であった。分子量数万から数十万のポリマーが生成しており、ポリアセチレン構造を持つことがわかった。光学活性基を輪成分上に持ち、アンモニウム塩構造を保持したロタキサンモノマーから得られたポリマーのみがCDスペクトルでCotton効果を示し、らせん構造を有することが予想された。また、興味深いことに、このらせんポリマーでは、主鎖構造は通常のcis-transoidalではなく、trans-transoidalであることがラマンスペクトルから明らかとなり、ロジウム触媒系では極めてまれな重合であることが明らかとなった。その重合機構については検討中である。今回、輪成分が軸成分上で自由に運動できるロタキサン構造をらせん周囲に持たせた新しい構造体を合成することに成功した。
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