2006 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒時間分解表面増強振動分光法を用いた電極表面キャリアーダイナミクス
Project/Area Number |
18041001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山方 啓 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (60321915)
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Keywords | 和周波発生分光測定 / ピコ秒時間分解測定 / 超高速電位ジャンプ / 光励起キャリアー / 電極表面ダイナミクス / 電子移動 / バンドギャップ励起 / フェルミ準位 |
Research Abstract |
電極の電位変化に伴う吸着分子の電場応答、電子移動過程を高速時間分解測定するために、本年度は、まず、表面分子の赤外吸収測定・赤外可視和周波発生(SFG)測定が同時にできる装置を制作し、次に、高速な摂動を与えるために、ポンプ光照射による電極電位を高速に変化させる方法を開拓した。 SiプリズムにAuを5nmの厚さで微粒子状に蒸着させた表面に、標準物質としてよく用いられるオクタデカンチオール(ODT)自己組織単分子膜を作成し、この分子のSFG測定を行った。通常SFGは単結晶などの規定された表面吸着種の観察に用いられるが、凸凹の激しい微粒子表面でも十分なS/N比で測定できることを確認した。次に、Au微粒子の隙間からSi表面に532nm(0.5mJ/cm^2)のポンプ光を照射し、光励起電子の生成・再結合過程を赤外光の吸収変化から観測した。その結果、ポンプ光照射によりパルス幅(35ps)で赤外光の80%が吸収されるほどの大量な光励起キャリアーが生成し、ピコ秒の時間領域では全く減衰しなかった。この結果は、本手法によりSiにキャリアーを発生させ、Auを通して、吸着分子への電子移動をピコ秒時間分解測定できることを意味している。本研究で用いたODTの場合、HOMO-LUMOの位置がSiのバンドギャップから大きく離れているためSFGには大きな変化は観測されなかった。しかし、HOMO-LUMOの位置がフェルミ準位に近いπ系共役分子の場合やバイアスの印加により、表面から吸着分子への電子移動を測定するという次年度への足がかりが得られた。
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Research Products
(3 results)