2007 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒時間分解表面増強振動分光法を用いた電極表面キャリアーダイナミクス
Project/Area Number |
18041001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山方 啓 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 助教 (60321915)
|
Keywords | 和周波発生分光測定 / ピコ秒時間分解測定 / 超高速電位ジャンプ / 光励起キャリアー / 電極表面ダイナミクス / 電子移動 / バンドギャップ励起 / フェルミ準位 |
Research Abstract |
電極界面における吸着分子への電子移動や電極反応を理解するためには、電場を印加した際における吸着分子の応答を振動分光法を用いて観察することが必要である。これまでに我々はFT-IRに加えて、ピコ秒赤外パルスを用いた電極表面吸着種の赤外吸収スペクトル、赤外可視和周波発生スペクトルの測定を可能にし、電極にレーザーパルスを照射した際の変化を時間分解観察してきた。今回、我々は、電極界画の温度が変化した際には界画溶媒分子の配向変化で電場強度が変化し、これが、吸着分子への電子状態に影響を与えることを見いだした。極性溶媒分子の構造や配向変化は界面電子移動過程や物質移動速度に影響を与えると考えられており、電極過程を理解する上で重要である。 負電位では、電極表面に負電荷がたまり、溶液側にはカチオンが蓄積する。標準分子としてCOが吸着したPt電極表面で、カチオンにH^+, Li^+, TEA^+ (tetra-ethyl ammonium ion), TBA^+(tetra-butyl ammonium ion)を電解質に使うと、H^+, Li^+では、孤立したO-Hが3650cm-1付近に出現し、水分子がカチオンと水和することで疎水性COとの反発を促進するのに対して、疎水性イオンであるTEA^+, TBA^+では逆に水素結合した水分子が3100cm-1付近に強く表れた。これは、疎水性水和によりカチオンの周りを水分子が取り囲んだ結果であると説明できる。 ポンプ光照射して界面の水分子を加熱したときの配向変化速度は、H^+, Li^+の場合には200-300psと遅いのに対して、TEA^+, TBA^+の場合には150-100psと速くなった。この結果は、前者の水和イオンの水分子は動きにくいのに対して、後者の疎水性水和した界面の周りの水は逆に水素結合が弱くなって動きやすくなったことを示している。
|
Research Products
(18 results)