2006 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子電気伝導特性計測によるナノリンク電気伝導特性評価
Project/Area Number |
18041006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 慎太郎 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 助手 (70422558)
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Keywords | 単一分子 / ブレイクジャンクション / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
超高真空原子間力顕微鏡を用いて単一分子接合を金電極間に作製し、その分子接合切断力と電気伝導度を同時計測した。ジチオレート分子を化学吸着させた金(111)表面と金コートのカンチレバー探針間の点接触と、その破断を繰り返すことで分子が推率的にその破断電極間を架橋することが期待される。 過去の報告例にあるように、金の単原子接触(金原子ワイヤ)は1G0(量子化コンダクタンス、77.5μS)のコンダクタンス値を示すが、ベンゼンジチオレート分子が架橋した場合には1から3桁低いコンダクタンス値を示すことが確認された。分子接合の破断過程で、そのコンダクタンス値は大きく変化し、単一分子のコンダクタンス値を決定することが困難であった。コンダクタンス値が変化する原因として、破断過程での分子-金属接触の結合状態の変化が考えられる。本研究ではコンダクタンスと同時に切断過程での力の計測を行うことで、その結合状態とコンダクタンスの関連を明らかにすることを第一の課題とした。1G0のコンダクタンス値をしめす清浄な金単原子接触の切断力は約1.5nNの値を示すことが知られているが、分子の存在下でも同等の(金単原子接触の)切断力を示すことが確認された。金単原子接触と比較して、分子接合の切断力は小さい値(0.8nN以下)を示すことが分かった。また、切断力を示す分子接合は、コンダクタンスヒストグラム中に優位なコンダクタンス分布を示し、単一分子のコンダクタンス値を決定することができた。次年度、その研究成果を雑誌論文で発表予定である。
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