2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18041008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 明 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (80143543)
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Keywords | ナノリンク分子 / MCBJ / BDT / コンダクタンス / 分子架橋 |
Research Abstract |
本研究は1個の分子を金属電極間に架橋させた「ナノリンク分子」を形成し,その高バイアス/高電流下における不安定化現象を実験的に考究するとともに,破断電圧/電流のデータベースを構築することを目的としている.平成18年度はMCBJ(機械制御破断接合)を用いたBDT単分子の架橋に成功し.コンダクタンスやI-V特性,および破断,に関して以下の成果を得た. 1.室温でMCBJの金電極にBDT単分子を架橋することに成功し,そのコンダクタンス測定を行った.コンダクタンスヒストグラムにはいくっかのピークが観測され,BDT単分子のコンダクタンス状態には,従来報告されていた0.01GO状態の他に,高コンダクタンスの0.1GO状態および低コンダクタンスの0.005GO状態があることが明らかになった.これらの異なる状態は,BDTと金電極との異なる結合状態に対応していると推定される. 2.架橋BDT分子を上記の3っの状態に暫時保持し,各状態における1-V測定を行うことに成功した.1-V測定の前後でコンダクタンスが変化していないことを確認することにより,ばらつきの少ないI-V特性を得ることができた.3つのコンダクタンス状態のI-V特性はほぽ相似の形状を示し,3次関数でよく近似することができる. 3.BDT分子を架橋したまま電圧を高い値までスイープし,分子の破断が起きる電圧を測定した.その結果,金電極に架橋したBDT分子は.ほぽ2Vで不安定化してコンダクタンスが急激に上昇することが判明した.この不安定化電圧はガス雰囲気や最初のコンダクタンス状態には余り依存せず,おそらく分子やその接触部分ではなく,金電極そのものが2V付近で不安定化しているのではないかと考えられる.
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