2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノギャップ平坦電極の作製と有機薄膜の電気伝導特性評価
Project/Area Number |
18041009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑原 裕司 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00283721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 恵 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (50437373)
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Keywords | ナノギャップ平坦電極 / 独立駆動2探針STM |
Research Abstract |
本年度は、有機薄膜の局所領域における電気伝導特性評価のため、 1、独立駆動2探針STMの測定手法の改良と電気伝導二次元マッピングの取得 2、ナノギャップ平坦電極を用いた超薄膜の電気伝導特性評価とデバイスのプロトタイプの作製を行った。 1については、電気伝導度の測定において問題となる、電極探針と薄膜との接触状態のばらつきを低減するための手法について検討した。有機材料としては、ポリ3オクチルチオフェンを用い、スピンコーティングして作製した200nmの膜厚を持つ薄膜を作製した。作製した有機薄膜に関して10μm^2の局所領域で、2探針間の抵抗値を可視化することに成功した。また、導電性向上のため、ヨー素ドーピングした上記薄膜に関しても2次元マッピングを取得し、探針間に電圧を印加することによるドーパントの移動を直接評価することにも成功し、マクロスケールでは問題にならなかった局所電流、局所電界の効果を顕在化することができた。 2については、金属電極と絶縁部分との段差を1nm以下に抑える技術を確立し、単一分子膜をスムーズに電極間に架橋することが可能となった。作製したナノギャップ平坦電極を用いて、ポリジアセチレン超薄膜を蒸着法により作製し、その電気伝導度を計測した。その結果、ポリジアセチレン主鎖が両電極間に十分架橋できたときには、従来のホッピング伝導とは異なる、線形の電圧/電流曲線を得ることに成功した。この結果は、初めてポーラロン伝導を実験的に示したものであり、その電気伝導の温度依存性を計測したところ、金属的な伝導と、半導体的伝導すなわちホッピング伝導の両方を併せ持つような性質を示すことがわかった。また、ゲート電圧を印加することにより単一分子膜においても電界効果トランジスタの動作を確認し、有機ナノデバイスのプロトタイプを具現化することができた。
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