2006 Fiscal Year Annual Research Report
負パリティーラムダハイペロンに対するペンタクォーク模型の研究
Project/Area Number |
18042006
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
井上 貴史 上智大学, 理工学部, 助手 (80407353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 清孝 上智大学, 理工学部, 教授 (00143363)
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Keywords | ストレンジネス / ハイペロン / ペンタクォーク / エキゾチック・ハドロン |
Research Abstract |
本年度は研究計画の通り、負パリティーラムダハイペロンに対するペンタクォーク模型を構築し、いくつかの解析を行った。 模型の構築から述べる。4つのクォークと1つの反クォークで負パリティーのバリオンを作るため、全ての(反)クォークが基底S状態にあると仮定した。そのうえで、カラーによるクォーク閉じ込めとフェルミ統計性を考慮し、配位を決定した。その結果、Λ(1405)に対応する配位は3つ存在する事が判明した。S状態には、簡単のため、線形なスカラーポテンシャルを含むディラック方程式の基底解を用いた。これらの(反)クォークに残留相互作用を導入する。カイラル対称性を回復する事、基底バリオンのスペクトルを再現する事、を指標にして決定した。相互作用項は(反)クォークの、グルーオンと擬スカラーメソンの放出/吸収を記述する。相互作用の効果は摂動により見積もる。この相互作用により、ペンタクォーク内にクォーク相関と余剰クォーク(Seaクォーク)が導入される。 次に、解析結果を述べる。初めにσ項を計算し、余剰クォークについて調べた。その結果、メソンの雲によるSeaクォークは価クォークよりも倍程度大きく寄与し重要である事がわかった。また、Seaクォークは有限の運動量移行で見ると消えていき、価クォークのみが残る事も分かった。これらの結果を、8月にブラジル・サントスで開かれた、18th, IUPAP国際会議、Few-Body Problem in Physicsにおいて発表した。次に、質量スペクトルを調べた。単純には縮退している3つの∧(1405)も、価クォークの質量差と相互作用の効果によって分裂する。調べた結果、3つの内の2つが近い質量を持ち、残りの1つはずっと大きい質量を持つ事が分かった。これは他の模型の結果と一致しており興味深い。これらの結果を、11月に京都で開かれた、Yukawa International Seminar(YKIS)2006,″New frontiers in QCD″において発表した。
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Research Products
(2 results)